ラオス 竜の奇跡の映画専門家レビュー一覧

ラオス 竜の奇跡

日本とラオスの国交60周年を記念して製作された初の合作映画。家を飛び出し、都会で暮らしていたノイはある日、1960年のラオスに迷い込む。そこで出会ったのは、ダム建設調査に来ていた日本人の川井。のどかな農村で、2人は暮らし始めるが……。メガホンを取ったのは、「天国からのエール」の熊澤誓人。主演は共に映画初出演となる井上雄太とティダー・シティサイ。
  • 評論家

    上野昻志

    最初、ヒロインが現代の都会で暮らすシーンのテンポが、ややかったるく感じられたのだが、彼女が橋を渡り、1960年の森に迷い込み、ダムの調査に来て川に落ちた日本人の青年とともに、少年の導きで村で暮らすようになってから、その緩やかなリズムに自然に引き込まれていった。つまり、それは「流れるように生きる」ラオスの暮らしのリズムなのだ。そこから、内乱がありながらも、農作業をし、薪を集め、祭をやるラオスの村の暮らしが、なんとも心地よく感じられるようになった。

  • 映画評論家

    上島春彦

    タイムスリップ物として色々惜しい映画。主人公のカップルが美しいだけにもう少し演じがいある物語を作りたかった。女と男で時間への感覚が違うのだが、それが説得的に描かれていない。川面に映える日光が竜の姿に見える秀逸なショットもあり、期待はふくらんだが、雰囲気重視の弊害が見られる。ダムが出来れば村が沈むというのは結局デマだったのか、それとも沈んであの程度か、それすら分からない。内戦の件ももやもや、というかうやむや。龍神祭の視覚効果が良かったのは救いだ。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    隣国が舞台の「バンコクナイツ」の興奮が醒めやらぬだけに同じ川をめぐる映画でも品行方正すぎると思えるが、タイムリープまで出してくるところはキラキラ青春映画の〈ご都合主義にはSFもどきを〉に通じる。未来から来たヒロインは1960年に日本人が指導するダム建設計画の結果を知ってるくせに多くを語らないので設定が活きず。前半のヒロインは仏頂面なので魅力を感じないが、後半の生き生きとした表情は良い。ダム建設と地元住民の陰と陽をもう少し提示してほしかったが。

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