スウィート17モンスターの映画専門家レビュー一覧
スウィート17モンスター
「トゥルー・グリット」でアカデミー賞にノミネートされたヘイリー・スタインフェルドが悩める少女を演じた青春コメディ。キスも未経験でイケてない日々を過ごす高校生ネイディーン。親友と兄が惹かれ合っているのを知り、疎外感からとんでもない行動に出る。ヘイリー・スタインフェルドは本作で第74回ゴールデン・グローブ賞コメディ/ミュージカル部門女優賞にノミネートされた。ほか、「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」のウディ・ハレルソン、「ポゼッション」のキーラ・セジウィックらが出演。監督・脚本は、本作で初めてメガホンを取ったケリー・フレモン・クレイグ。
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
これはもうヒロインのネイディーンを演じるヘイリー・スタインフェルドの好演に尽きる。キュートというよりファニーな顔立ち。頬と唇のアンバランスさと、いつも何か文句を言いたげな瞳。あと蓮っ葉なのにIQ高そうな喋り方も面白い。こじらせ女子の通過儀礼を描いたストーリーそのものは、まあありがちといえばありがちだけど、演技も含めて「こんなもんでしょ」的な誤魔化しをしてないところに好感が持てる。何かとネイディーンを気に懸ける教師役のウディ・ハレルソンも良い。
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映画系文筆業
奈々村久生
自意識に振り回される少女をモンスターと表した邦題は言い得て妙。きわどいけれど乙女心に刺さりまくる主演のヘイリーが見事すぎる。劇中で自主映画少年が披露し、彼に惹かれるヘイリーが絶賛するアニメ映画は、シンプソンズや「モンスターズ・インク」のD・シルヴァーマンが手がけているが、その絶妙に凡庸なクオリティのリアルさまで完璧。音楽プロデューサーはハンス・ジマーという布陣で、これが監督デビュー作になる脚本家出身のK・F・クレイグは演出の手腕も確かだ。
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TVプロデューサー
山口剛
過剰な自意識と精神と肉体のアンバランスからくる恥辱の日々、それが誰しも思い当たる思春期の特徴だろう。そんな少女の日常をひとひねりして面白い映画に作りあげている。ヘイリー・スタインフェルドは、瞬間瞬間で、明るく魅力的だったり歪んで醜くかったり、不安定な心情を見事に表現している。ホールデン・コールフィールドの少女版、現代版と言っていいだろう。母親、兄、教師の造型もユニーク、アッパーミドル階級の風俗も面白い。思春期ものかと敬遠なさらぬよう。
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