嘘八百の映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
北川れい子
タイトルに引きずられた、ってワケではないのだろうが、映画自体がアタマからシッポまで“嘘八百”ではどーしょうもない。そもそもあれこれ能書きらしきものは盛り込んでいるが脚本が薄っぺら。キャラクターはハナからいかがわしく、主役2人の演技も脚本に合わせてか、ヘラヘラと上っ調子。骨董品ブーム!?に便乗した逆転コメディという狙いはともかく、作者たち、ホンキでこんな話が面白いと思ってんの!? 大阪の喜劇人の扱いもおざなりで、笑うよりツラくて、ツラくて……。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
うらぶれた連中が腹黒さをキレイに装った奴らに仕掛けるコンゲームという愉快痛快なシナリオに芝居の下手がひとりもいない役者陣、それが作り手と現場の熱できっちり窯変した娯楽作。かけられたお金以上の充実が立ち上がってくる小気味いいプロの仕事。大阪は堺が舞台で骨董の器がネタという完全和モノ世界ながらチームもの作戦ものの洋画的快感がある。佐々木と中井の並び歩く姿や、深夜に筆をとる木下ほうかがかっこよい。初笑いにもってこい。騙されたと思ってぜひ観てほしい。
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映画評論家
松崎健夫
かつて某国の土産物店で「他の店は三級品を扱っているが、うちは一級と二級のコピーしか扱っていない」と店員に豪語され驚愕したことがある。つまり紛い物の世界にもランクがあると言う訳だ。この映画では「本物より凄い偽物は本物に成り得るのか?」という問答を描いている。登場する古物は〈偽物〉であることが前提になっているため、職人の作り出す〈偽物〉が役者の演技や演出によって本物らしく“見える”のだ。それは職人らしく“見える”佐々木蔵之介の佇まいの賜物でもある。
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