フリー・ファイヤーの映画専門家レビュー一覧
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
初期タランティーノのラスト数分を90分間に引き延ばしたかのような、完全にタガの外れた銃撃戦映画。とにかくひたすら血塗れの撃ち合い殺し合いが延々と続き、セリフにもあるのだが誰が誰を撃ってるのか、誰が死んでて誰がまだ生きてるのかも判然としなくなってゆく。クールな人工美の「ハイ・ライズ」の次がコレだなんて、監督ベン・ウィートリーには今後要注目。めまぐるしいカット割りはかなり計算されており、単なるノリだけではない。あとはジョン・デンヴァー! 怪作にして快作!
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映画系文筆業
奈々村久生
なぜこの脚本でいけると思ったのか理解に苦しむ。仮にも闇取引に手を染めようという輩にしては全員頭が悪すぎるし(そもそもまともな頭があればこんな事態にはならないけれど)、その頭の悪さが何の人間性にも結びつかない不毛な人物描写。幼稚園男児の悪ノリを現実の長篇にしても面白くないのが致命的。重低音を効かせた銃声の仕上げは迫力あるがこれが実に心臓に悪い。爽快感はなくただただ体に負担。書いていて自分でもひどいと思うけどどうしても筆の暴走を止められない。
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TVプロデューサー
山口剛
スターも出ていないし、鳴り物入りのキャンペーンもないが、映画は活劇だと信じるファンが快哉を叫ぶB級アクション映画の快作だ。全篇が銃撃戦、場所は郊外の廃屋に限定されている。紅一点のブリー・ラーソン以外はアウトローの悪党ばかり十数人、次々にワイズクラックを吐きながら死んでいく。血と泥と火薬にまみれ最後は誰が誰だか判りにくくなっていくが、それもまたこの映画の魅力。初期の村川透や長谷部安春、野田幸男のアクション映画などを思いながら90分を楽しんだ。
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