フェリシーと夢のトウシューズの映画専門家レビュー一覧

フェリシーと夢のトウシューズ

19世紀末のパリを舞台に、バレリーナを目指す少女の姿を活写するアニメーション。オペラ座の舞台に立つことを夢見る孤児フェリシー。ある日、施設を抜け出し、パリで元バレリーナのオデットと出会った彼女は、情熱と勇気だけを胸に新しい世界へ飛び込んでゆく。声の出演は「夜に生きる」のエル・ファニング、「ディーン、君がいた瞬間(とき)」のデイン・デハーン、カナダ出身のシンガーソングライター、カーリー・レイ・ジェプセン。振付を、パリ・オペラ座バレエ団芸術監督のオレリー・デュポンと、パリ・オペラ座バレエ団で長年にわたりエトワールを務めてきたジェレミー・ベランガールが担当する。日本語吹き替え版キャストは「PとJK」の土屋太鳳、「思い出のマーニー」の黒木瞳、「陽だまりの彼女」の夏木マリ。
  • 批評家。音楽レーベルHEADZ主宰

    佐々木敦

    洋邦問わず普段ほとんどアニメを観ない自分としては、却って「なぜアニメなのか?」ということにこだわってしまう。ヒロインの声を大正義(笑)エル・ファニングが当てているわけだが、これが彼女で実写で撮られていたら、と想像すると事態はより明確となる。もちろんまるっきり違う作品になってしまうだろう。アニメならではのミニマリズム、躍動感、過剰運動性みたいなものの追求は、タッチは全然異なれど、ジャパニメーションとも共通する。クライマックスはかなり盛り上がります。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    ダンスをCGやアニメで見せたり見たりすることの意味を改めて考える。芸術における身体表現は人間の肉体の限界があってこそ成り立つもので、不可能がなくなってしまえば、逆に頭で想像したことを超えるものは生まれない。実際本作におけるバレエシーンはもはやアクロバットに近いが、アクロバットも人間の身体能力の限界に挑むものであることを考えると話はふり出しに戻る。ドラマとしても題材がバレエでなければならない必然性は薄い。ただし、エル・ファニングの声演は素晴らしい。

  • TVプロデューサー

    山口剛

    バレリーナになりたい孤児院の少女の成功物語、一言で言える単純なストーリーに少女漫画にありそうなお膳立て、期待しないでスクリーンに向かったが、案に相違、全く退屈しないまま見終わった。脚本、作画がいい。主人公をはじめ脇の掃除婦オデット、ヒゲの振付師などのキャラが面白い。バレエをよく知る友人によれば、アニメ的誇張はあるものの、踊りの基本は正確だとのこと。オペラ座の芸術監督が全シーン踊ってみせ演出協力したという。目に見えない部分の苦労が生きている。

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