ポンチョに夜明けの風はらませての映画専門家レビュー一覧

ポンチョに夜明けの風はらませて

早見和真による同名青春小説を「HOMESICK」の廣原暁監督が映画化。なんとなく日々を過ごす又八、ジン、ジャンボの男子高校生3人組。卒業を間近に控え、車で高校最後の旅に出た彼らは、道中、刺激的な大人たちと出会い、自分たちの生き方を見つめ直していく。出演は「淵に立つ」の太賀、「バースデーカード」の中村蒼、「ちはやふる 上の句/下の句」の矢本悠馬、「PARKS パークス」の染谷将太、「ヒメアノ~ル」の佐津川愛美、「2つ目の窓」の阿部純子。一般公開に先駆け、2017年8月12日、『カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション2017』にてプレミア上映。
  • 評論家

    上野昻志

    いいねえ、徹底して行き当たりばったりで。親父さんが、貯金を貯めて買った中古の高級車に乗った二人組が、大学受験に失敗した仲間を乗せて三人になり、ヤンキーに絡まれたグラビアアイドルに乗り込まれたお陰で、車をボコボコにされ、素性も知れぬ風俗嬢まで拾った挙げ句、海辺に行く……その夜の、騒ぐわりには、バラバラな五人の動きを捉えた長回しがいい。そのあとの、一人がポンチョを纏うことになる前後も可笑しく、今どきのベタな恋愛映画など一蹴する青春映画の快作である。

  • 映画評論家

    上島春彦

    グラドル愛美ちゃんのキュートな水着ポスターは最初から店に貼ってある。見た目と裏腹な彼女の中身のギャップで物語が始まる上手い作り。もう一人、風俗嬢の彼女も得したね。だがロード・ムーヴィー篇の話、主役の男三人は今一つ盛り上がらない。俳優がいいので退屈しないのは上出来ではあろう。監督にも言いぶんがあるようだが、しかし女性陣を途中で退場させたのは失策である。もったいない。できればもう一人の主役染谷の卒業式ゲリラ・ライヴ篇も充実させてもらいたかったな。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    卒業を目前に、無意味な衝動ではなく、なんとなくつるんでいる仲間と車に同乗して走り出し、なんとなくトラブルに巻き込まれていく流れが心地いい。殊にドライブインで不良連中からグラドルの佐津川を救うくだりは、最初クールな傍観者視点だったのが、仲間の一人が巻き込まれて一気に喧騒の渦中となり、車に飛び乗ると続いて佐津川も乗り込んで逃げるという、余計な説明を排し、描写を積み重ねて突出した場面を構築。表題のポンチョが絡む後半は淡々とし過ぎている感あり。

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