MASTER マスターの映画専門家レビュー一覧
MASTER マスター
イ・ビョンホンが韓国映画で8年ぶりに悪役を演じた犯罪アクション。韓国最大規模のネットワークビジネスで、市民から多額の資金を巻き上げた投資会社のチン会長は、会社の倒産と共に金を持って海外に逃亡。警察は彼を逮捕すべく、その足取りを追うが……。共演は「華麗なるリベンジ」のカン・ドンウォン。監督は、韓国で観客動員500万人を達成した「監視者たち」のチョ・ウィソク。
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翻訳家
篠儀直子
韓国映画というと重厚感や湿度があるというイメージかもしれないが、これはとても軽快なタッチの娯楽作。美貌と存在感に恵まれたスターが3人そろうと、それだけで(いや、もちろんそれだけの映画ではないのだけど)こんなにも画がもつのかという発見もあり。でも、スターに見とれているせいか、金融に疎いせいか、ぼやぼやしてると光の速さで話がわからなくなるのだった。頭脳戦の性格が強い戦いだが、数少ないアクションシーンもすごい充実ぶりで、観る者の気持ちを一気に解放する。
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映画監督
内藤誠
日本でも投資家詐欺をして、外国へ逃げた女性の報道があったばかりだが、チョ・ヒパル詐欺事件を素材にしていて、悪のマスターを演じるイ・ビョンホンは冒頭で大衆を前に弁舌をふるうところからフィリピン逃亡にいたるまで、役者として見せ場がいっぱい。彼を追う秀才刑事のカン・ドンウォンもひたむきさが出ていて、アクションも相当なもの。脇役もよく、現実の犯人が行方不明のせいか、物語展開も自由にできていて、マニラのロケ地では大聖堂からスラム街まで効果的に使っていた。
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ライター
平田裕介
「監視者たち」でも善と悪の切れ者たちのバトルをキビキビと追ったチョ・ウィソク。基本的に同テイストなのだが、いまいち各キャラの背景の作り込みが足りていない。それゆえ詐欺師一味が繰り広げる腹の探り合い、そこから生まれる“恨”の濃度が薄くなってしまっている。捜査官たちが詐欺師どもとタメを張る手口で彼らを騙して追い込む展開は面白いが、結局はドンパチでケリをつけるのも少し残念。長い手足を振り回して駆けずり回る、キム・ウビンのスクリーン映えは相当なもの。
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