あしたは最高のはじまりの映画専門家レビュー一覧

あしたは最高のはじまり

「最高のふたり」のオマール・シー主演のハートフルコメディ。サミュエルの元に以前関係を持ったクリスティンが現れ、彼の娘という赤ん坊グロリアを置いて行ってしまう。彼女を探しに向かったロンドンで知り合ったゲイのベルニーと共にグロリアを育てていく。オマール・シーが赤ん坊の出現により人生が変わるプレイボーイを、「人生、ブラボー!」のアントワーヌ・ベルトランが彼に手を差し伸べる敏腕プロデューサーを演じる。原案はメキシコで2013年に製作された「No se aceptan devoluciones」(未)。
  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    「最高のふたり」のオマール・シーは、現代映画界のきわめて興味深いスターだ。彼は「(スラム街で幸運な出会いを待ちつつ)白人にも真価を理解してもらう用意を整えた黒人像」という絶妙なポジションを創造した。欧州のレイシズムは克服されるどころか、倫理的にも経済的にもより深刻なものとなっている。O・シーは、その現状に対する中和剤として、時代から要請されたスターである。しかしだからこそ、その限界も見定めねばならず、クリシェを批判しなければならない。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    お気楽男が主人公。それに合わせたのか、お話の方も調子よくて――。「大人になれ」と親から説教されている男が、赤ん坊を押しつけられて、さあ大変。さて、どう育てるかというのはけっこう面白い設定。なのに素っ飛ばして娘はあっという間に小学生。男もいつの間にか売れっ子スタントマン。そこに母が現れ、子どもを返してくれと迫る。う~ん、その理屈が分からない。その後もまさかの展開となり、お涙頂戴となって。これ、ちと受けをネラいすぎでは?で、主人公は最後までガキのまんま。

  • 映画ライター

    中西愛子

    オマール・シー扮するプレイボーイは、ある時、突然“あなたの子よ”と、よく知らぬ娘に赤ん坊を突きつけられる。母であるその娘は失踪。男はシングルファーザーとなる中、父性に目覚めていく。ドタバタ・コメディかと思いきや、母親が戻ってくる辺りから、親権争いを巡るかなり深刻な話になってくる。弱い女の悪いところがズバズバ描かれていて、監督の女嫌いを感じるが、結構リアルなのかなぁ。ラストを予定調和にしなければ、現代の「クレイマー、クレイマー」になったかも。

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