パーティで女の子に話しかけるにはの映画専門家レビュー一覧
パーティで女の子に話しかけるには
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェルによるラブロマンス。1977年のロンドン。内気なパンク少年エンは、パーティで出会った少女ザンと恋に落ちる。しかし彼女はあと48時間で遠い惑星に帰らなければならなかった。出演は、「マレフィセント」のエル・ファニング、2015年に史上最年少でトニー賞主演男優賞を受賞した実力派アレックス・シャープ、「LION ライオン 25年目のただいま」のニコール・キッドマン。
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翻訳家
篠儀直子
ごくごく短いものである原作小説を大胆に拡張。その結果、ある種のパンク好き文化系少年が妄想をこじらせてノートに書きがちな話みたいになっている。なのに、というよりもそれゆえにか、知らない人も興味をそそられるぐらい当時のパンク・カルチャーを魅力的に活写する、ということにはさほど関心がなさそう。しかしその一方で、異星人のさまざまな文化や行動が、当時の(アートシーンを含めた)想像力の産物に見えるのが面白い。エピローグ部分はありきたりながらちょっとほろり。
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映画監督
内藤誠
和泉聖治監督「魔女卵」の脚本で、セックス・ピストルズとナンシー・スパンゲルのことをセリフに書き、いろんなことを言われてしまったが、これは77年イギリスのパンクロックを正面から取り上げ、選曲、ファッション、風景、アニメに至るまで、好きなひとにはたまらない部分が、ごったに詰め込まれた作品である。エイリアンの女の子エル・ファニングが地球に来て、アレックス・シャープと愛し合う喜劇のなかに、ニコール・キッドマンがパンクの精神的支柱として堂々と登場するのがいい。
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ライター
平田裕介
パンク・ムーブメント華やかなりし77年が舞台だが、同年は「未知との遭遇」の製作年でもある。とすれば、これは宇宙人が初めて愛というものに触れる姿を描いた彼ら側の「未知との遭遇」になるのでは(だが、英での公開は78年)。などと勝手な想いをめぐらせて軽く興奮したものの、パンクのファッショナブルな部分だけを抽出した姿勢がなんだか鼻についてのめり込めず。はなからそれを狙っているのはわかるが。ゲロしまくるもガーリーな魅力が消えない、E・ファニングはたいしたもの。
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