スクランブル(2017)の映画専門家レビュー一覧

スクランブル(2017)

「96時間」×「ワイルド・スピード」シリーズ制作陣によるクライム・エンタテインメント。高級クラシックカー専門の強盗団、フォスター兄弟は、残忍なマフィアのモリエールに囚われ、敵対するマフィアのクランプが所有する62年型フェラーリを盗むことに。出演は、「ワイルド・スピード ICE BREAK」のスコット・イーストウッド、フレデリック・ソープ、「ブレードランナー 2049」のアナ・デ・アルマス。監督は、「トランジット」のアントニオ・ネグレ。製作は、「96時間」のピエール・モレル。脚本は、「顔のないスパイ」のマイケル・ブラント、「ワイルド・スピード×2」のデレク・ハース。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    最初のうち東森スコットさんがひとりで映画を支えようとしているかのようで気の毒に思えたが、コン・ゲームの風味が匂い出してからがぜん映画が弾みはじめ、力量が不安定に見えていた演者たちも魅力を発揮。カーチェイスの聖地(とわたしが勝手に思っている)南仏の風景がとびきり魅力的で、ロケ地の特徴は人間同士のチェイスシーンでも活用される。カット割りが極端に細かいのに観ている者が混乱しないつなぎになっており、場面転換にも工夫が見られ、ちょっとした拾い物的な面白さ。

  • 映画監督

    内藤誠

    高額な芸術作品のクラシックカーを盗むということから始まる二人の脚本家のアイデアがいい。トヨタ博物館でクラシックの名車を見物したことがあるけれど、この作品でギャングが所有する本物とレプリカの入り混じったコレクション映像には驚嘆。スコット・イーストウッドとフレディ・ソープの異母兄弟がその車を盗む新しいヒーローで、スコットは「ワイルド・スピード」シリーズの前作ではマッチョな男たちの陰で、かすんでいたが、こんどは風変りな恋人アナ・デ・アルマスと組み、快調。

  • ライター

    平田裕介

    この手の作品の最高峰として「ワイルド・スピード」シリーズが君臨しており、スケール面でかなうわけがない。じゃあ、クラシック・カーをガンガン登場させてやるというアイデアはグッド。だが、あまりに貴重すぎて猛スピードでぶっ飛ばすこともクラッシュもできず、「くれぐれも傷つけないように運転を」なんて台詞をS・イーストウッドに言わせているあたりにも苦労が偲ばれる。かといってケイパー・ムービーとしての醍醐味は薄く、あくまでレア車観賞ムービーとして楽しんだ。

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