身体を売ったらサヨウナラの映画専門家レビュー一覧

身体を売ったらサヨウナラ

一流大学を出て新聞社に勤務する女性が、AV女優だった過去を暴露されるという実体験を綴った著書を原作に「下衆の愛」の内田英治監督が映画化。昼と夜の顔を使い分けながら生きるひとりの女性の波乱万丈の半生を、AV監督などへのインタビューを交えて映し出す。出演は「恋の渦」の柴田千紘、「インターン!」の小西キス、「新宿スワンII」の久保田悠来、「恋人たち」の内田慈、「ANTIPORNO(アンチポルノ)」の冨手麻妙、「淵に立つ」の筒井真理子。
  • 評論家

    上野昻志

    主人公の動きに伴って、いろいろ賑やかに出てくるのだが、隔靴掻痒という感じで、肝腎のところが見えてこない。なぜAVなのか、その体験が彼女にとって何だったのか。劇中にAV女優へのインタビューのようなものも出てくるが、そこで語られるのも、こちらの想像を超えるものではない。となると、AV女優であったことも新聞社に勤めていたことも、ホスト遊びをすることも、なべてフラットに映ってしまう。挙句、惚れたミュージシャンの二股を知って、我に返る? では弱すぎる。

  • 映画評論家

    上島春彦

    インテリAV嬢ネタというのはコンセプトとしてありだと思うが、実話というのがかえって足カセとなり今一歩突き抜けられなかったのが残念。一見の価値はあり、主演女優の熱演も評価したい。それが褒められる全て。自分の肉体を実験動物とみなして、その自身の観察記録を様々な形で残す、という構成は十分に面白い。ただ結局求めているのは幸福です、というのでは赤の他人を納得させられないだろう。不幸と快楽を求めて地獄に堕ちたい、という人の物語じゃなきゃ映画にゃならんよ。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    東映ビデオが絡んでいるので往年の東映キワモノ映画のノリを期待したくなるが意外性のない真っ当な作り。普段は押し付け企画をこなす監督に任せた方が、ここに自由を見出した可能性あり。主人公のモデルがフィクションみたいな経歴を持つだけに、そのまま撮っても再現にしかならないのを見越してドキュメンタリー部分で補強されているものの本編の賑やかし程度。最近の内田作品に見られた園子温風味は抑え気味だが、「恋の罪」ばりの過剰さを上乗せしないと現実に虚構が負けている。

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