ニワトリ★スターの映画専門家レビュー一覧

ニワトリ★スター

「ハブと拳骨」の原案、音楽を担当した田中雄一郎が、“かなた狼”名義で監督を務め、自著を映画化。人生の目標もなく草太と楽人がダラダラと毎日を過ごす東京のアパート“ギザギザアパートメント”を舞台に、奇妙な住人たちが様々な人間模様を繰り広げる。出演は「二十六夜待ち」の井浦新、「キセキ -あの日のソビト-」の成田凌。
  • 評論家

    上野昻志

    成田凌演じる楽人がいい。むろん、それは草太に扮した井浦新の受けの演技に支えられたという面もあるが、それを超えた無邪気さと、時折見せる翳りが、楽人という人物に厚みをもたらした。その一方で、津田寬治演じるやくざとその手下の阿部亮平が自称ラッパーのJAY(ペロンヤス)を追い詰めていくところがリアルでかなり怖いし、半グレの川下(裵ジョンミョン)の善人面した残忍さもよく出ている。という具合に、物語の展開よりも、それぞれのキャラを活かした俳優たちが記憶に残る。

  • 映画評論家

    上島春彦

    これほんまに『わろてんか』のぼんと同じ人やろか、という成田の狂演がグッド。新の前半びびり演技も新鮮で、後半、実家お好み焼き屋のあんちゃんになっちゃう凡人ぶりをスムーズに準備している。しかし最もキャラが立ってるのは津田寛治の刺青やくざ。彼が胴元をやるギャンブル格闘技の場面から突然話が面白くなり、タランティーノ感覚の物語シャッフルぶりが決まる。何のための殺人か分からなくなるあたりもタラ風味。人を食った終わり方もおかしいが、高良をもっと見たかったな。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    才気を過信して映画を撮ってみたら、アニメを大胆に活用して意欲的な試みを見せるも、支離滅裂で演出不在の冗長な映画になってしまった典型。猥雑な魅力を発し得るディテールが点在しているものの雑多なだけに終わってしまった。内容空疎なから騒ぎをモノローグで強引に進めようとするものの編集のリズムが悪く、135分が果てしなく長く感じる。津田が出て来るとようやく映画らしさが漂うが、そこまで。糞つまらないという意味のフレーズが入る主題歌を複雑な思いで聴くことに。

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