検察側の罪人の映画専門家レビュー一覧

検察側の罪人

雫井脩介の司法ミステリーを原作に「関ヶ原」の原田眞人が監督、木村拓哉と二宮和也が初共演。ある殺人事件の容疑者の一人として、すでに時効を迎えた未解決事件の最重要容疑者が浮上。彼を執拗に追い詰める検察官・最上の捜査方針に若手の沖野は疑問を抱く。互いの正義を賭けて対立する二人の検事を木村拓哉と二宮和也が演じるほか、「ユリゴコロ」の吉高由里子、「モリのいる場所」の山崎努ら豪華俳優陣が集結。
  • 評論家

    上野昻志

    開巻間もなく、新人検察官たちが、広いフロアーの片隅で理想の検察官像を語り合う様子をカメラで一撫でするような切り取り方には、またかと苦笑するが、本筋の話は面白い(雫井脩介原作)。辣腕検事に扮する木村拓哉と、彼を尊敬する新人の二宮和也に事務官の吉高由里子という三者に、歌舞伎風の隈取りをしているわけではないが、隈取り鮮やかといいたくなるような松倉重生と大倉孝二の被疑者に、松重豊まで加わってのバトルは見物だが、罪人には、当の検察官もという含意もありか?

  • 映画評論家

    上島春彦

    これだけ話がずさんだとさすがに厳しい評価となる。過去に囚われる人物像というのは映画的なものだが、この主人公には実際のところそうあらねばならない理由がない。彼の固執の意味をわざわざ太平洋戦争の傷跡にまで持ってこようとするのも、かえって言い訳めいた印象だ。また友人が冤罪がらみで自殺したことから正義派ジャーナリストになっちゃった、というヒトが出てくるのだが、こういう偽善にはついていけない。偽善者として描かれるならまだしも。最後もお粗末な仕掛けの対決。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    原田眞人だけあって個々の俳優たちを存分に際立たせ、ダイナミックな演出が随所に用意されて見応えあり。いつもと違って尺が2時間強なのでタイトな展開で息をつかせない。少なくとも映画では全く良いと思ったことがなかった木村が見違えるような演技を見せ、実年齢に沿った中年男を悪目立ちせずに演じていて見惚れさせる。中盤に訪れる二宮の大きな変化やクライマックスが呆気なく処理され、もう終わりかと思わせる忙しなさに余韻が欲しくなるが、観ている間はひたすら乗せられる。

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