不都合な真実2:放置された地球の映画専門家レビュー一覧
不都合な真実2:放置された地球
元アメリカ副大統領アル・ゴアが環境問題を訴え第79回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞他を獲得した「不都合な真実」の続編。地球温暖化の影響により異常気象が発生する現状に警鐘を鳴らすとともに、パリ協定実現に向け奔走した人々の情熱を取り上げる。監督は「南の島の大統領――沈みゆくモルディヴ」でプロデューサーと監督として組んだボニー・コーエンとジョン・シェンク。第70回カンヌ国際映画祭特別上映作品。
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翻訳家
篠儀直子
ドキュメンタリーというよりは、最初から決まっているメッセージを観客に伝えようとする映画だから――メッセージの内容自体への評価は別として――(なぜか日本でもコンスタントに上映される)米国製キリスト教宣伝映画とその意味では変わりない。でもこちらにはスペクタクル映画も真っ青の氷山「爆発」映像があり、パリ協定締結までの過程が見ごたえあるサスペンスになっており、主人公アル・ゴアが魅力的に描かれ、観客を惹きつける。終盤登場する共和党員市長のキャラもオモロイ。
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映画監督
内藤誠
地球温暖化を防ぐためのパリ会議で、石炭を主として使うインドを、太陽光エネルギーの国にするために、アル・ゴアたちが必死に活動し、直前にテロ事件があって、それも心配のタネだったことなど、あらためて確認した。政治家を廃業したあとのゴアの人間味ゆたかな環境問題への取り組みが丁寧にドキュメントされている。多くの人に見せたいとの願いから東京国際映画祭のクロージングに選ばれたはずだが、それにしてもトランプの言動は反動的。この映画製作に希望を託し、星を多くする。
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ライター
平田裕介
前作では当時の“今そこにある地球の危機”をこれでもかと突きつけてきたわけだが、今回は少し視点をチェンジ。さらに酷くなった状況を紹介することはするのだが、ほどほどな感じに。その原因にもなっている地球温暖化は嘘と言い張る勢力とアル・ゴアの戦いをメインに追いかけた内容となっている。パリ協定のインド批准をめぐる駆け引きをスリリングに捉えたくだりは、ちょっとしたポリティカル・サスペンスといった感じ。長靴を脱ぐだけでも呼吸が荒くなる、ゴアの肥大化が心配。
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