ベイビー・ドライバーの映画専門家レビュー一覧

ベイビー・ドライバー

「ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!」のエドガー・ライト監督によるクライム・アクション。天才的なドライビング・センスを買われ、組織の逃がし屋を務める青年“ベイビー”。ある日、運命の女性デボラと恋に落ち、闇の世界から足を洗おうとするが……。出演は「きっと、星のせいじゃない。」のアンセル・エルゴート、「メン・イン・キャット」のケヴィン・スペイシー、「シンデレラ」のリリー・ジェームズ、『フロム・ダスク・ティル・ドーン ザ・シリーズ』のエイザ・ゴンザレス、「ミリオンダラー・アーム」のジョン・ハム、「ANNIE アニー」のジェイミー・フォックス。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    すごいことを考えたものだと思うが、それを具現化できているのがなおすごい。「ミュージカルみたいな映画」ではなく「ミュージカル映画」だと断言したい。カーチェイスや銃撃戦が音楽に合わせて振り付けられているのもゴキゲンだが、歩いていくベイビーを移動撮影で追いかけるタイトルバックがすでに見事なミュージカルナンバー。そして数々の男女逃避行映画の名作の記憶を喚起しつつフィナーレへ。物語面でも「名前」や「逃避」の主題がちりばめられ、読解への欲望をかきたてられる。

  • 映画監督

    内藤誠

    カーアクションのみごとさもさることながら、まず選曲が抜群なことに感動。耳に障害をもつアンセル・エルゴートがプレイリストの好きな音楽を聴きながら、ギャングの逃走専門のドライバーをするというキャラクターもいい。ワンショットで逃げまくり、頑固そうな表情の一方で、美しいウェイトレスのリリー・ジェームズには純情を捧げるあたりの、動から静への演技も巧い。フィルム・ノワールに必須の悪の脇役にケヴィン・スペイシーを配したところなど、エドガー・ライトの演出の確かさ。

  • ライター

    平田裕介

    ハンドルを握る時はカーナビの音声よりも音楽をガンガン流したい。ペーパードライバー歴20年だが、そう考える自分にとって音楽に乗せて派手なチェイスを見せつける監督の主義には大共感(エンジン&ブレーキ音だけのもの好物だ)。あれこれ元ネタを探りたくなる従来のタッチに、王道的なボーイ・ミーツ・ガールとビルドゥングスロマンの要素を巧みに融合させてマニア層以外も楽しめるようにしたハイブリッド感も心地良し。「太陽を盗んだ男」の文太と並ぶ不死身ぶりを誇るJ・ハムも最高!

1 - 3件表示/全3件