アメイジング・ジャーニー 神の小屋よりの映画専門家レビュー一覧
アメイジング・ジャーニー 神の小屋より
自費出版から世界的ベストセラーとなった『神の小屋』をサム・ワーシントン主演で映画化。家族とのキャンプ中に末娘が誘拐され、悲しみに突き落とされたマック。長い間、立ち直れずにいた彼の元に、“あの小屋へ来い”と書かれた奇妙な招待状が届く……。「手をつないでかえろうよ~シャングリラの向こうで~」のすみれが、本作でハリウッドデビュー。「ドリーム」のオクタヴィア・スペンサーが共演。メガホンを取ったのは、「エグザム」のスチュアート・ヘイゼルダイン。
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
当然のごとく日本における宣伝では可能な限り薄められているが、全米ベストセラーの原作小説も、この映画も、一言でいうとキリスト教プロパガンダのごとき内容である。要するにヨブ記の現代版なのだが、宗教的な意味での評価は私の手に余る(賛否両論あるようではある)。石田純一松原千明夫妻の娘すみれが出演しているのだが、プレスキットに両親のことが一切記されておらず、色々と隠さなくてはならないことが多くて映画会社も大変だと思った。映画としては普通の仕上がりです。
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映画系文筆業
奈々村久生
リハビリと啓発ビデオを兼ねたような作り。主人公を襲う試練の過酷さに反して、学芸会レベルの設定と演出が浮きまくり、役者の使い方も勿体ない。山小屋パートは途中から別の映画が始まったのかと思うほどの落差がある。もしこのテーマを扱って真に魂の救済を目指すならば、聖書を一冊読み直したほうがよほど得るものは大きいだろう。ただ、元凶となる誘拐事件の描写は思いのほかショッキングで迫力があるので、監督は作家としてそちらの腕を磨いていったほうが得策では。
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TVプロデューサー
山口剛
不幸な事件で娘を失い自暴自棄に陥っている男の魂の救済と癒しを扱った涙と感動のベストセラーの映画化だという。確かに救済と癒しは描かれているが、制作者たちが意図した感動は、優れた映画が与える芸術的感動とは別種のものだろう。不幸な者を見つけ救いの手を差し伸べようと近づいてくる新興宗教の持ついかがわしさのようなものを感じざるを得ない。あの小屋に現れた三人は何だったんだろうという疑問は最後まで残った。「実話」なのか「夢」なのかも気になるところだ。
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