ゆずりはの映画専門家レビュー一覧

ゆずりは

新谷亜貴子原作の同名小説をコロッケこと滝川広志主演で映画化。葬儀社・安宅の営業部長・水島は、新入社員・高梨の教育係となる。イマドキの風貌や態度の高梨だが、実は豊かな感受性の持ち主だった。高梨と共に遺族と交流するうち、水島の心に変化が訪れる。監督は、「eiko エイコ」の加門幾生。出演は、「PARKS パークス」の柾木玲弥、「トレジャーハンター・クミコ」の勝部演之。
  • 評論家

    上野昻志

    「おくりびと」や「おみおくり」と異なり、こちらは葬儀社の話。という次第で、次々と葬儀が出てくるが、それにバラエティがあるのがいい。とくに、柾木玲弥の新人が司会をする貧しい葬儀。最低ランクの棺なんて、身につまされる! ただ、説明不足というかわからないところがある。とくに社長の死因。救急車で運ばれて即、死ぬのだが、病因は何か? 心臓発作か何かかもしれぬが、遺書も含め、それらしい予兆や情報が皆無なので、まさか自殺じゃあるまいな、などと勘ぐらせるのはマズい!

  • 映画評論家

    上島春彦

    これからの世の中、葬式ばっかりになるわけだから、葬儀屋さんの仕事をちゃんと描く企画は望ましいが、常識が通じない物語では評価しようがない。どうして葬儀屋さんの新入社員が見も知らぬ故人のためのスピーチを引き受けるのでしょうか。それに主人公とこのチャラ青年の因縁話も取ってつけた感が強い。怒りに任せて葬儀をぶち壊しかねない振る舞いに及ぶのも困ったもの。主人公の家庭事情も支離滅裂で、奥さんの一件も説得力なし。困った時に人を殺す脚本(原作かな)にも大弱り。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    コロッケが持ち味の表情も動きも止めてシリアスな演技派に転向するなんて森繁病かと心配になるが、感情を露わにできない抑圧が役と合致して好演。元々皺一つから自在に動かせる芸達者な存在だけに、動きを制限されるとその中で目一杯見せようとするだけに演技が引き立つ。「おくりびと」以降の葬儀屋映画のパターンに収まった作りとはいえ、過剰に挿話を盛り込もうとせず、主人公自身の抱える問題と上手く対比させながら型破りの新人社員との因縁も絡ませる作劇も無駄なく好感。

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