マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年の映画専門家レビュー一覧
マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年
シューズブランド、マノロ・ブラニクの魅力と華麗な手仕事に迫るドキュメンタリー。“夢の靴”が生み出されるイタリア・ミラノのアトリエからイギリス・バースの閑静な自宅、そしてそこに保存された30000点に及ぶアイテムのアーカイブにカメラを向ける。米ヴォーグ誌編集長アナ・ウィンター、歌手リアーナ、ティファニーのジュエリー・デザイナーのパロマ・ピカソ、シューズ・デザイナーのシャーロット・オリンピア、モデルのイマン、女優アンジェリカ・ヒューストン、ファッション・デザイナーのジョン・ガリアーノ、映画監督ソフィア・コッポラ、俳優ルパート・エヴェレットらが出演。
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映像演出、映画評論
荻野洋一
セレブのあいだで多大な支持を受ける靴デザイナーが被写体とはいえ、業界臭が映画全体に充満し、有名人との愉しげな社交や手放しの賞讃が延々と続く。本作を、業界臭に対する自虐的風刺劇として捉えた方が面白い。主人公がいかに靴を愛してきたか、女性の脚に取り憑かれてきたかという点は、きちんと語り起こされている。でも企業秘密ゆえか、実際に皮革と格闘し、一つの作品が生まれていく工程を1カットもまともに見せてくれないのだ。こういう映画の作り方ってあるものだろうか。
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脚本家
北里宇一郎
いやもうまったく関心のなかった世界を見せられて。超一流の靴デザイナーのドキュメント。なるほど、その作品(商品)は美しくカッコいい。ずっと鑑賞したくなるほど。ひと癖ありそうなマノロの人物像と経歴も、ご自身と、親しい有名人たちのインタビューで的確に構成。門外漢のこちらにもなるほどと思わせる。個人的には、60年代のカリスマ、D・ベイリーの現在の姿に感慨が。マノロ工房における靴製造の過程をじっくり見たかった。その手仕事の凄みを。でもそれ、秘密だろうなあ。
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映画ライター
中西愛子
マノロ・ブラニク、という名前を知ったのは、『セックス・アンド・ザ・シティ』を通してでありました。女性たちを虜にする優美なハイヒール。これは履きこなすのは大変なんじゃ、と思うけれど、ここに登場するヴァリエーションを改めて見ると、美しいし、品があって素敵。20世紀後半のカウンターカルチャーを享受してきた氏だが、現在の彼の佇まいや言葉は、節度ある人という印象だ。人をとらえたドキュメンタリーとしては薄い。でも、対象はやはり興味深いので、★半分くらいおまけ。
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