アフターマスの映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
基になった実際の出来事を知らない人は、この映画を、犠牲者遺族と事故責任者それぞれが大事故のトラウマを乗り越えようとする物語として観はじめるはずで(だからこそえんえん続く陰鬱な状況にもひたすら耐えようとするはずで)、それゆえ、突然の展開には何だか裏切られたような気分になるだろう。かたや実際の出来事を知る人は、「再現ドラマ」を見せられているだけのように感じるだろう。キャスティング自体がひどいブラックジョークのようにも思えてくる。硬質な画面は魅力的。
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映画監督
内藤誠
シュワルツェネッガーがアクションより演技派に徹している。ユーバーリンゲンの空中衝突事故の実話に基づき、その事故のあとの物語だが、管制官が一人になってしまう状況を作った会社側の責任を問うよりも、家族を失った主人公が航空管制官のスクート・マクネイリーに憎悪の矛先を向ける構図になっているので、いくら事実はそうだとしても、映画的には感情移入しにくい。殺された管制官の息子がさらに復讐をはかる物語に展開するので、観客としてはその青年のほうをもっと見たくなる。
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ライター
平田裕介
コメディはハマるシュワだが、「マギー」もそうだったようにシリアスに徹した作品はどうもマッチしない。なにかしら活劇的要素がないと、あの肉体に違和感が生じてしまうのだ。結果、物語に集中できぬまま終了。逆にスタローンはコメディがダメだったが、「コップランド」では体重増量を図ることで違和感を消してシリアス系もいけることを示した。肉体派として活躍したスターの“アフターマス”についてあれこれと考えさせられたわけだが、演技派移行を目指すシュワの頑張りは認めたい。
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