サイモン&タダタカシの映画専門家レビュー一覧

サイモン&タダタカシ

PFFアワード2014ジェムストーン賞を受賞した小田学の長編デビュー作。高校3年生のサイモンは、親友のタダタカシに密かに想いを寄せていた。だが、それに気づかないタカシは、高校最後の夏休み、サイモンを誘って“運命の女”を探す旅に出る……。出演は「獣道」の須賀健太、第28回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストフォトジェニック賞を受賞し、本作が映画初出演となる阪本一樹。
  • 評論家

    上野昻志

    これは、はじめのほうのサイモン(阪本一樹)が、ただボーッと立っているだけにしか見えないからかもしれないが、とにかく前半が緩い。それを救っているのが、須賀健太(タダタカシ)の動きだが、それでも、彼がやってくれるかもしれない女を捜しに行くところまで、ジリジリさせられた。面白くなったのは、チャリに乗ったヤンキーが登場してからだ。なぜか、田舎町にUFOが出てくるのも悪くない。それが、まるで肛門からひり出すようにヤンキー娘を吐き出す場面には、大いに笑った。

  • 映画評論家

    上島春彦

    男が男を好きになったり二人で旅に出たり、という物語は普通に面白い。どっちの俳優もいいし、片思いのシチュエーションが胸キュン感覚。出発点はね。ところが青春ロードムービーを存分に演出して下さい、というこちらの願いが途中から打ち砕かれ、結果評価不能の仕上がりに。よく考えたらトイレの落書きに電話しちゃう、しかもそれがつながるという初期設定自体そもそも妄想的なのだが、途中からいたずらに妄念が肥大して現実を侵食し、実写ですらなくなってしまう。ある意味凄い。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    友情でも同性愛でもホモソーシャルでもない、男同士の同伴感覚がズレも含めて心地良い。アニメ、ジオラマの導入は珍しいとは言えないが、奇をてらうためではなく本篇の進行上に不可欠なパーツとして実写部分とフラットに接続されて、奇想を堂々と用いることが出来る。円盤を登場させたり、果てしなく逸脱しながら何でもありの収拾がつかなくなることもなく、自分の色と商業映画と折り合いをつけて見せる辺りはPFFスカラシップから園子温、矢口史靖以来の大物誕生を予感させる。

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