ハード・コア(2018)の映画専門家レビュー一覧
ハード・コア(2018)
狩撫麻礼(作)、いましろたかし(画)の漫画『ハード・コア 平成地獄ブラザーズ』を山田孝之と佐藤健共演で実写映画化。山奥で怪しい活動家の埋蔵金探しを手伝っていた3人の男の前にある日、謎の古びたロボット“ロボオ”が現れ、一大事が巻き起こる……。監督は「オーバー・フェンス」の山下敦弘。共演は「覚悟はいいかそこの女子。」の荒川良々。
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映画評論家
北川れい子
松たか子を平然と“前座”扱いする冒頭シーンから煙に巻かれる。そしてどこか、昭和男の無骨さと律義さが漂う右近役の山田孝之。かなりぶっ飛んだ設定のぶっ飛んだハナシだが、暴力と背中合わせのゆるい笑いや、疎外感に裏打ちされた友情はかなりこちらの心を揺さぶり、その真面目なフマジメさ、実に面白い。右近と、女装癖のある牛山(荒川良々)の前に現れるサビたロボットも愛嬌たっぷり、彼らのお助けマンとして大活躍。左近・佐藤健もクール。原作、監督、脚本も文句なし!!
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
狩撫麻礼がいろいろ難しく考えてたことをいましろたかしが脱臼させたものを向井康介と山下敦弘がまた脱臼させつつ骨接ぎした。川本三郎原作「マイ・バック・ページ」のときのように彼らに対して原作者はそれが媚びてるわけでもない今の時代の表現なら認めるよというだろう……たぶん。佐藤健は本作でかつてなく大人になった。あと、「迷走王 ボーダー」のように便所を直した部屋に住んでいた知人や一水会事務局でバイトしてた頃の自分を思い出した。この男たち(女たち)は実在する。
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映画評論家
松崎健夫
世の中の間違いに対して「間違っている」と言える人間は、世間から不器用とされ、やがて社会からはみ出してゆく。そういう意味で、本作の“物言わぬ”ロボットと荒川良々の姿は、逆説的に社会の中に馴染んでいるといえる。問題を起こすのは“物言う”兄弟の方であり、この二組が血縁と血縁のない二組に分かれる点が真骨頂。これまでも山下敦弘監督は、社会からはみ出した人々への偏愛を描いてきたが、本作でも“はみ出した側”へ寄り添っている点で原作との相性の良さが表れている。
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