チェリーボーイズの映画専門家レビュー一覧

チェリーボーイズ

古泉智浩原作の同名コミックの映画化。とある地方都市で暮らす、仕事も恋愛も上手くいかず、何事にも中途半端な3人組。揃いも揃って25歳の童貞の彼らが常に考えることは、女性とSEXのことばかり。そんな彼らが、自分を変えるためにとった行動とは……。出演は、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の林遣都、「デメキン」の柳俊太郎、ドラマ『わろてんか』の前野朋哉、「一礼して、キス」の池田エライザ。脚本は、「アズミ・ハルコは行方不明」監督の松居大悟。監督は、本作が長編デビュー作となる西海謙一郎。
  • 評論家

    上野昻志

    男の子って、ホントにバカなんだから、って、世の女子に笑われるかどうかが、この映画の成績を決めるポイントだと思う。そうでなく、フン、なにこれ、ってそっぽを向かれたら、キビシイだろうね。童貞男子の妄想を、型通り律儀に辿ってみせたこの映画の努力は買うが、この殺伐な世の中で、どうなんだろう。バカバカしいけど、わかるよ、この感じ、と、どれだけの人が思うか。三人組のうちの二人はともかく、クンニに扮する林遣都の、メガネをかけた湿っぽい感じが、妙にリアルなだけに気になる。

  • 映画評論家

    上島春彦

    こういう性犯罪すれすれの映画をもっと見たい。ポルノじゃなくて喜劇だが。映画なんだからいいんですよ、悪いことしても。と言ってもほとんど妄想に近い悪事計画でいわゆる「児戯」ですね。童貞トリオの「救われなさ」に観客は救われるのだ。他の二人に比べても林クンの情けなさは別格で、存在感あり。エライザも、脱いでくれたらもっと偉かったとは思うが健闘。いや、脱がないからいいのだ。脱げる人がやったのではつまらない。純情なんだか何だか分からない彼女のキャラがいいね。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    童貞ものと言っても青春の一時代の悶々とした日々をおかしさと悲哀で描いた普遍的な青春映画の範疇だが、本作は〈童貞映画〉の作り方をこじらせたらしく、演出も糞真面目なので、レイプで童貞喪失を遂げようとするのをユーモアもなく描き、ドス黒い性犯罪に見えてしまう。一昔前に書かれた脚本をそのまま使っているらしく、セクハラで揺れる今、それでも青春映画として童貞を描くという地点には遠く及ばず。こんな性犯罪者みたいな主人公が野放しの町に住みたくないと思うのみ。

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