レッド・スパローの映画専門家レビュー一覧

レッド・スパロー

「ハンガー・ゲーム」シリーズのフランシス・ローレンス監督が、ジェニファー・ローレンスと再タッグを組んだスパイ・アクション。“スパロー”と呼ばれるロシアの諜報員ドミニカは、その美貌と心理操作を駆使し、ロシア機密を探るCIA捜査官ナッシュに接近する。共演は「ラビング 愛という名前のふたり」のジョエル・エドガートン、「リリーのすべて」のマティアス・スーナールツ、「さざなみ」のシャーロット・ランプリング、「RED レッド」シリーズのメアリー=ルイーズ・パーカー、「ある天文学者の恋文」のジェレミー・アイアンズ。音楽を「ハンガー・ゲーム」シリーズのジェームズ・ニュートン・ハワードが担当。原作は、元CIA工作員のジェイソン・マシューズによる同名小説。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    扇情的なシーンの連続にドギマギ(ワクワク?)する観客と、物語内の養成係の思惑とを鼻で笑うかのごとく、国家の望む娼婦になど決してなるまいとする誇り高きJ・ローレンス。でも露骨な嗜虐性もあるこの映画は、やはり一種の搾取映画なのだろう。スパイはそもそも自分の意図を隠して行動するものだからある意味仕方ないとはいえ、10センチ先も見えない濃霧のなかを、泥に足を取られながら進むかのような展開。ヒロインが米側に協力するところまでやってくれば、それなり面白くなる。

  • 映画監督

    内藤誠

    冒頭、ジェニファー・ローレンスがボリショイ・バレエ団で踊りまくる場面と夜の闇に怪しげに浮かぶジョエル・エドガートンの姿が交互に映し出されて、わくわくする。直後、舞台で大ケガしたヒロインは叔父の勧めで、ロシア諜報部の女スパイとして生き抜こうとするのだが、その養成学校の教官として登場するシャーロット・ランプリングがハニー・トラップの技術を徹底的に教え込み、見ていて怖い。原作者が元CIAだけに、事実告白のために加えるサディスティックな行為が妙にリアル。

  • ライター

    平田裕介

    ジェニファー・ローレンスのドタドタしまくったバレエ・シーンには軽く面食らったが、それ以外は満点。ゴージャスな肢体とそれを惜しげもなく披露する姿はハニートラップ専門工作員という役柄に説得力を持たせており、あの恨めしそうで負けず嫌いそうにも程がある顔は後半の展開に抜群の効果をもたらしていく。エスピオナージュと復讐に重きを置いた話なので派手なドンパチはないが、その代わりとばかりに刃物を駆使した立ち回りを用意。これが観る者の痛点を刺激しまくって◎。

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