SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬の映画専門家レビュー一覧
SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬
デヴィッド・ボウイ、ジム・ジャームッシュ、YMOら多くのアーティストとコラボレーションする写真家・鋤田正義に迫るドキュメンタリー。時代の寵児をカメラに収めてきた足跡を辿るとともに、彼自身や親交ある人々の証言から人柄や魅力を浮かび上がらせる。監督は、数々のミュージックビデオの演出・プロデュースを手がけ、「自分の事ばかりで情けなくなるよ」などのプロデュースを務めてきた相原裕美。鋤田正義の甥・鋤田晃久が、音楽担当およびプロデューサーとして参加している。
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映画評論家
北川れい子
写真家を撮る。これまでにも世界的な写真家を追ったドキュメンタリーは数多く作られているが、写真家・鋤田氏の足跡を振り返るこのドキュは、アーティストたちの豪華な顔ぶれからしてまばゆくもスリリング。そうそう鋤田氏は寺山修司「書を捨てよ町へ出よう」のカメラマン(仙元誠三と共同)でもあるのだ。ご本人が世界各地の思い出の場所に出向いての取材秘話も貴重で、その人柄も親しみ易い。ビジネスや人気に直結するイメージ戦略のプロが10代で撮ったという母親の写真も美しい。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
鋤田正義が表現そのものである写真とコマーシャリズムの一翼を担うイメージという、写真表現の二つの山腹の出合う稜線をロックを道連れに歩いてきたとわかるドキュメンタリー。ロックという商業音楽がどうしても視覚的イメージを必要とすることにも気づかされる。コンセプチュアルなミュージシャン、デイヴィッド・ボウイにはとりわけその力は重要だった。鋤田氏がボウイ生地ブリクストンの「アラジン・セイン」壁画の下に小さく日本語で、有りがとう!と書いたのにはグッときた。
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映画評論家
松崎健夫
直に人と会うこと。また、国境や言葉の壁に躊躇せず人と触れ合うこと。そして、それらの体験が若い時代のものであればあるほど、なお良いということを鋤田正義の人生は教える。お互いがお互いを発見し、やがてお互いが成長することで、周囲が自ずとそこに深い絆を見出し評価する。これがいかに重要なことであるかは、本作で鋤田について語る世界的著名人という面子が全てを物語る。彼の人生が“一期一会”の集合体によって形成されていることは、“生きるヒント”にもなっている。
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