犯罪都市(2017)の映画専門家レビュー一覧
-
翻訳家
篠儀直子
そのものずばりを映してはいないのに、残虐なシーンが生々しく痛い。こういう場面のある映画を娯楽映画として成立させるには、捜査チームのやり取りに愛嬌やユーモアをまぶすのが定石だが、「新感染」で途轍もなく魅力的だったマ・ドンソクを軸に、そこをぬかりなくクリア。だが何より驚くのは、キャメラ位置もカット割りもずば抜けて明快かつスムーズで、まったくストレスなしに観られること。ものすごく新しいことをやっているタイプの映画ではないが、上質のエンタメとしてお薦め。
-
映画監督
内藤誠
カン・ユンソン監督のデビュー作だが、「新感染ファイナル・エクスプレス」以上に気合いの入ったマ・ドンソクの刑事役のおかげで、力作となった。中国から来た朝鮮族暴力組織にまつわる実話だというけれど、新興組織のボスを演じるユン・ゲサンの存在感が圧倒的。過去の話だとはいえ、朝鮮族全員が冷酷で非倫理的に描かれているので、青少年観覧不可能映画にしたところで、日本なら、差別問題が起きてしまいそう。全篇、怖い男の顔をよく揃えたもので、行動に移るまえに殺気が充満。
-
ライター
平田裕介
イキっているワルどもを片っ端から、バカスカと殴って、捻って、吹っ飛ばしまくる。そんなマ・ドンソクの無双な姿がとにもかくにも痛快。悪玉に同情すべき点は一切ないが善玉はどこまでも人情味満点、上司や同僚との程良く熱くて緩い絆もイイ感じでアゲてくれるし、クスッともさせてくれる。早い話が、ドンソク版「ベテラン」といったところ。まさに“糞”としか言いようのない悪玉を始末する場をトイレに持っていくあたり、その限定された広さや設備を活かした殺陣の設計もお見事。
1 -
3件表示/全3件