ANIMAを撃て!の映画専門家レビュー一覧

ANIMAを撃て!

東京藝術大学大学院の修了制作「いたくても いたくても」で注目を集めた堀江貴大の商業映画デビュー作。将来を期待されたダンサーの果穂は、クラシックダンスを踊る自分に違和感を抱いていた。そんなある日、彼女は元ドラマーの青年・伊藤に出会うが……。出演は本作が映画初出演となる服部彩加、「カラスの親指」の小柳友。
  • 映画評論家

    北川れい子

    勇気があるというか、無謀というか、かなり野心的なダンス映画ではある。クラシックバレエに飽きたらなくなったダンサーが、自分だけの自由なダンスを踊ろうとする話。で出会ったのが一度はドラマーを諦めた男のビート。劇中、主人公が踊るシーンや、ドラムを演奏する場面が何度もある。がゴメン。ダンスもドラムも映画としての説得力はゼロで、自分たちだけでウケている。映像も演出も同様で、脚本だけが大言壮語。こういう作品こそプロ級のダンサーとドラマーが重要なのに、無茶!!

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    「グレイテスト・ショーマン」を観たときにそのダンス場面が全部心象や象徴だったのはひっかかった。そういうミュージカルもあるがあれでは元ネタの史実上のショーの置き換え表現の意味が強すぎる。その点本作は、映画のなかでダンスや音楽をやっている人のそれを見せるバックステージもの系としてすっきりしてる。人物の成長や葛藤もその表現行為に即して語る。生ドラムの伴奏とダンスも新鮮。単純だとしても「グレイテスト~」以上の強度がある。その直截に魂を狙う意志やよし。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    幼少期よりバレエやダンスを経験してきた服部彩加とONE OK ROCK結成時にドラマーだった小柳友。堀江貴大監督は「いたくても いたくても」でも役者の肉体を駆使することで映像に躍動感を生み出していたが、本作においても役者の潜在的な力を引き出すことで「本物」=「リアル」な躍動感を生んでいる。そして役者の演技だけでなく、カットとカットの繋がりにコマ単位のこだわりを感じさせる編集や撮影によっても躍動感を生み出し、至福のクライマックスを導いている。

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