ダリダ あまい囁きの映画専門家レビュー一覧

ダリダ あまい囁き

ミス・エジプトに輝いた美貌とそのエキゾチックな歌声で、60年代フランス全土に社会現象を起こし、一躍スターとなった歌手ダリダの生涯を追う伝記ドラマ。私生活では数々の恋愛に悩み、愛する人との幸せな家庭に憧れ続けていた哀しくも美しい54年の人生に迫る。出演は『チャットレディ 偽りの代償』のスヴェヴァ・アルヴィティ、「ジョン・ウィック チャプター2」のリッカルド・スカマルチョ、「愛しき人生のつくりかた」のジャン=ポール・ルーヴ、『パリ警視庁:未成年保護特別部隊』のニコラ・デュヴォシェル、「汚れたダイヤモンド」のニールス・シュナイダー。監督・脚本は『LOL 愛のファンタジー』のリサ・アズエロス。
  • 批評家、映像作家

    金子遊

    二十代後半までは貪欲に音楽を求めてたのに、昔の音楽ばかり聞いてる今日この頃。知らない音楽に触れるチャンスは映画を観るときくらいだが、フランスの歌姫ダリダの音楽と人生には度肝を抜かれた。国民的なシャンソン歌手がエジプト人というのも、ダイバーシティに富んだフランス社会らしくていい。60年代から70年代の黄金期に、恋あり自殺未遂あり、インドで瞑想したり年下の恋人で苦労したり。なんとなく宇多田ヒカルの人生を思いだすのは同じトップスターだから?

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    無論、稀代の大スターなのだが、ダリダを個人的には、多くの恋をして恋人に次々と自殺され、自らも自死した歌手という印象が強かったので、一番の関心事は彼女がどう描かれているか。ファムファタールではないダリダを、人気スターと一人の女性との、二つの人格を等分にドラマにしたバランスの良いアプローチに○。結果、ダリダの意志の強さと自信のみならず、ヨランダ(本名)の脆さとの拮抗が、心を刺す。ポピュラー音楽史を反映した絢爛な音楽場面と主演女優の美貌にうっとり。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    恋多き女でありながら、交際相手が次々と死を選び、人気者であるがゆえに母親になることも叶わなかったダリダ。偶像を売るスターという職業は、男女ともに受け手の疑似恋愛的な感情に人気が左右される、またその感情を意図的に利用する商売であるだけに、私生活の充実とは根本的に相性が悪い。ダリダ本人のビジュアル然り、本作で彼女を演じたモデル出身のアルヴィティの野生的な美貌は、女性であることとショービジネスの世界で成功することの両立がいかに困難であるかを体現する。

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