きみへの距離、1万キロの映画専門家レビュー一覧

きみへの距離、1万キロ

遠く離れた地球の反対側からロボットを通じて出会う男女の恋を綴るラブストーリー。北アフリカの石油パイプラインを監視するロボットを、アメリカから遠隔操作するゴードン。ある日、彼はロボットを通して、いつも暗い表情を浮かべている女性アユーシャと出会う。出演は「グリーンルーム」のジョー・コール、フランスの新星リナ・エル・アラビ。撮影は「トランスポーター イグニション」のクリストフ・コレット。監督・脚本は「魔女と呼ばれた少女」のキム・グエン。
  • 批評家。音楽レーベルHEADZ主宰

    佐々木敦

    設定は面白い。なんとなく日本人が思いつきそうなアイデアだが、因習に絡めとられた北アフリカの女の子を、奥手のアメリカ人青年がデトロイトから石油パイプライン監視の遠隔操作ロボットを通して助けようとする。主演二人はとても瑞々しい。ジョー・コールは気弱げな目元が印象的だし、リナ・エル=アラビはまだ幼さが残るがすごい美人だ。先端テクノロジーを使ったお伽噺というべき話だが、しかしこのラストはさすがにちょっとイージーゴーイングなのではないでしょうか?

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    1万キロも離れた場所から知らない誰かに自分の行動を見られているとはなんて恐ろしいことなのだろう。ロボットだけでも脅威なのに、見ず知らずの声が喋り出したら、逃げるの一択しかない。ましてや勝手に身辺を探られていたら……絶対に会いたくない。目の見えない老人との交流が最も幸せな形だろう。椅子の上で運命が見つかるなら苦労はない。せっかくテクノロジーの進化がもたらした出会いの奇跡というチャンスから監視社会への恐怖しか感じられなかった自分をただただ残念に思う。

  • TVプロデューサー

    山口剛

    遠隔操作の監視ロボットのモニター映像に映るアフリカの少女に恋するアメリカの警備会社の青年。原題は『ロミオとジュリエット』になぞらえジュリエットを見つめる眼差しといった意だ。六本足の監視ロボットのアイディアは面白いのだが、この一目惚れの恋の進行とその結末は余りにもナイーブで楽天的に思える。アメリカとアフリカを隔てる、地理的、歴史的、政治経済的さらには宗教上の大きな格差すべてを拾象してハッピーエンドに持っていく描き方には眉に唾をつけざるを得ない。

1 - 3件表示/全3件