グッバイ・シングルの映画専門家レビュー一覧

グッバイ・シングル

「10人の泥棒たち」のキム・ヘスと「新感染 ファイナル・エクスプレス」のマ・ドンソク共演のコメディ。トップ女優のジュヨンは年齢を重ねるにつれ徐々に人気が下がり、年下の彼氏にも浮気される始末。落ち込む彼女は妊娠を偽装し、一発逆転を狙うが……。出演は、「トガニ 幼き瞳の告発」のキム・ヒョンス、ドラマ『魔女宝鑑~ホジュン、若き日の恋~』のクァク・シヤン。
  • ライター

    石村加奈

    シングルにさよならするのは、元スター女優のジュヨンだけではない。ジュヨンのわがままに巻き込まれて、妊婦生活を送る中学生ダンジの孤独(親を亡くし、頼りない姉に頼らなくては生きていけない身の上や、妊娠という身体変化に伴う不安など)を掬い上げることで、登場人物各々の独りよがりの壁をとっぱらう。女優の衣裳と普段着(サボテン柄のパジャマ!)とのメリハリ同様、コミカルとシリアスのバランスが素晴らしい。老犬サンナムの貫祿もよいアクセントの、泣いて笑える人情喜劇。

  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    キム・ヘスは失礼ながら今年48歳とのこと。若さを異常に尊ぶ伝統が根を張った韓国芸能界にあって、彼女は存在自体が挑戦となっている。韓流ブーム時代にNHKで放送されたドラマ『クッキ』(99)の主演が印象深い。本作はそんなキム・ヘスの現在の美魔女ぶりを賞讃しつつ自虐喜劇として楽しませるという趣旨のみで成立している。美しくセクシーだが愚かで自分勝手、周囲に尻ぬぐいばかりさせるが憎めないところがある。私たちもまたそんな周囲の人々と同じ目線を共有するだろう。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    人気没落気味の女優が、シングルマザーになると偽って復活。このわがまま女優をかいがいしく世話するスタイリストを、「新感染」のタフガイ(マ・ドンソク)が演じているのがお楽しみ。妊娠する中学生女子も含めて、役者陣がみな魅力的。その展開も快調。が、女優の利己主義を窘めるあたりから、それまでの喜劇調がシリアスに転じ、ちと重くなったのは残念。ここはすかっとコメディの枠内の解決を図ってほしかったところ。だけど近頃の日本の喜劇映画よりはるかに楽しめて。

1 - 3件表示/全3件