春待つ僕らの映画専門家レビュー一覧

春待つ僕ら

あなしん原作の同名コミックを実写映画化。美月は高校入学を機に“脱ぼっち”を目指すがうまく行かない。そんな彼女のバイト先に永久らバスケ部員4人が現れる。次第に彼らに心を許していく美月。永久とお互い気になり始めたとき、幼なじみの亜哉と再会する。出演は、「累 かさね」の土屋太鳳、「君の膵臓をたべたい」の北村匠海、「曇天に笑う」の小関裕太、「恋は雨上がりのように」の磯村勇斗、「あのコの、トリコ。」の杉野遥亮、「私の人生なのに」の稲葉友。監督は、「ROOKIES 卒業」の平川雄一朗。
  • 評論家

    上野昻志

    女子高生と、彼女を取りまく男子たちの他愛のない話がだらだらと続く。イヤ、これは、だらだら続くから、その他愛のなさが、際立ってしまうのかもしれない。だとすれば、これを20分余り短縮すれば、四人組の男子たちが真剣に取り組んでいるというバスケの試合場面も、ヒロインの美月(土屋太鳳)が一所懸命に書いて当選した作文コンクールの発表シーンも、それなりにメリハリ良く映ったかもしれない。この際だから、話を詰め込んでも90分で収めた往年の映画を見直してほしい。

  • 映画評論家

    上島春彦

    主人公の女の子は多分アスペルガー症候群だと考えられる。まず注意力の欠如(大事な時にコケる)。KY(突然大声を出す)。被害妄想(自分がクラスでつまはじきにされていると勝手に思っている)。特殊能力の開花(作文コンクール堂々入賞)。そして何より思い込みの極端さ(何と親友の性別をずっと間違えている)。アスペルガーは病気じゃないが、周囲との軋轢を引き起こしやすいのは確かだ。このお嬢さんの場合、イケメン軍団の温かさのおかげで悲劇が回避され、それはとても良かった。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    原作がそうだからと土屋に高1の役を演らせてしまうところに脚色不在を実感させるが、彼女のから元気な芝居に辟易してきた身としては影のある今回の役はしっくりくる。男連中の芝居が低温すぎるので土屋一人で映画を背負い、抑制しつつ躍動をもたらす。スクールカースト最上位のバスケ部イケメン男子のLINEグループに入れてもらうことで土屋が成り上がる下剋上ドラマとしては面白いはずだが、本音の世界は隠匿されている。コートと観覧席の視線の交錯によるドラマが欲しかった。

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