セラヴィ!の映画専門家レビュー一覧
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批評家、映像作家
金子遊
さすが「最強のふたり」のトレダノ&ナカシュ。古城での豪華な結婚式を裏から支える給仕やスタッフやコックたちは、東欧系、アラブ系、ブラック・アフリカ系と多彩な顔ぶれである。今年のフランス映画を代表するような娯楽作のなかでも、ちゃんとダイバーシティが確保されている。物語は誰でも楽しめる人生喜劇であり、マイノリティや人種問題が話題になることがないだけに、彼らの「顔」がスクリーンに登場し、フランス人の多様さが映像的に示されることが重要なのだ。
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映画評論家
きさらぎ尚
結婚式や告別式などは、つつがない進行が当たり前。粗相があってはならないイベント。よって、結婚式をめぐるトラブルで爆笑を誘うこの物語は、形式的儀式を重視する日本人には特にウケがいいのでは。ましてや社会問題をキレのあるシャレにして、独特のスピード感で観客の心を?むトレダノとナカシュだもの。期待値も自ずと高くなる。が、持ち前のサービス精神に足を掬われたか。詰め込んだ話に途切れることのない会話、会話。人種問題や階級社会を風刺するも、芯のない笑劇に。残念。
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映画系文筆業
奈々村久生
コメディとしてはギャグレベルはそれほど高くなく、キャラクターもいまいち弱いのだが、何ひとつ計画通りにいかず先行きのわからない結婚式に寄り添うアヴィシャイ・コーエンの劇伴がぴったり。ジャズのセッション風のアレンジが生もののライブ感を煽る。クライマックスで流れるウェディングソングもいい。一瞬の花火カットはどんなシチュエイションであっても美しいものは美しいことを証明すると同時に、それが美しいほど、前後の文脈から切り離された演出の残酷さを物語っている。
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