ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男の映画専門家レビュー一覧
ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男
2人のスタープレイヤーの対決が世界を熱狂させた1980年のウィンブルドン決勝戦を映画化。20歳の若さでウィンブルドン初優勝を果たしたビヨン・ボルグと、その前に立ち塞がるジョン・マッケンロー。対照的な2人がウィンブルドン決勝戦で激突する。出演は「ストックホルムでワルツを」のスヴェリル・グドナソン、「フューリー」のシャイア・ラブーフ。監督は「アルマジロ」のヤヌス・メッツ。
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批評家、映像作家
金子遊
テレビで昨今のテニスの試合を観ると、カメラの切り替えの見事さに舌を巻く。伝説的な名対決を映画化するにあたり、当然、監督は中継より劇的に演出する自信があったのだろう。スロー、真上からの俯瞰、ネットをナメた選手のアップなど、考えうる限りのショットが満載だ。特徴的なのは、不安定な手持ちやステディカムの浮遊感を使った、ボルグとマッケンローの表情をとらえる寄りの切り返し。映像面でもふたりの顔と表情のドラマにしており、こうやって編集するのかと感心した。
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映画評論家
きさらぎ尚
ボルグを主体にしたこの映画で、マッケンローの有名な悪童ぶりは評判のまま。氷の男ボルグのウッドラケットが繰り出す力強いストローク、冷静沈着な試合運びを目の当たりにして感動した記憶とは反対に、彼も少年時代に悪童だったことが興味を引く。プレースタイルが完成したのは、デビスカップの監督だったコーチの薫陶よろしきを得ての結果だったのだ!? 両者のウェアにお馴染みのブランド・ロゴがないのは間の抜けた感じだが、後半の決勝戦の臨場感はスポーツ映画の中でも出色。
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映画系文筆業
奈々村久生
「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」に続くテニスもの。こちらはシンプルに男と男の闘いだ。ラブーフとグドナソンはヴィジュアルを本人に寄せつつ映画的に好演、そしてコーチ役のスカルスガルドの存在感ときたら。ウィンブルドンやウェアといったテニスカルチャーも楽しめる。約20分にわたりほぼ無言の打ち合いを見せる終盤の試合シーンはさすが。ただし、勝っても喜びより安堵の色を濃く滲ませる演出が音楽の使い方にもうかがえて切ない。コートの外で顔を合わせた二人の距離感が生々しい。
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