7号室の映画専門家レビュー一覧
7号室
シン・ハギュンと“EXO”のD.O.共演で贈るサスペンス。倒産寸前の個室DVD店で働くテジュンは、多額の報酬と引き換えに預かった麻薬を店内の7号室に隠す。同じ頃、アルバイト店員が事故死。店長のドゥシクは、遺体を7号室に隠し、施錠してしまう。共演は「最終兵器ムスダン」のキム・ドンヨン、「プンサンケ」のキム・ジョンス。
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翻訳家
篠儀直子
そもそもいかがわしい店だし、店の人間の誰ひとりとして映画ファンではなさそうなのに、個室DVD店がハリウッド超古典映画のポスターだらけなのは監督の趣味だろうか。実際この映画の設定は、映画青年が考える定番中の定番だと思えるし、だからこそもっとスカしたりトンガったりしている映画にしてほしかった気がするが、真面目にがっちり撮っていること自体は悪いことではない。設定から想像されるとおりコメディ色も強く、思慮の浅い店長役のシン・ハギュンが映画全体を支える。
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映画監督
内藤誠
シン・ハギュンは儲かると思って始めた、男女が個室で楽しむDVD店の営業不良で、苦しんでいる。その日常が実にリアル。よくできた喜劇だが、ギョーカイ的に身につまされ、爆笑とはいかない。アルバイト店員のD.O.にも月給が払えず、店を売ろうとする。そこで登場する不動産屋との会話も損得中心で、おかしい。脚本監督のイ・ヨンスンはさらに死体隠しのサスペンスや警官たちの朝鮮族差別、ヤクザとの麻薬取引も入れてくるので、サービス精神は伝わるけれど、物語が分散した。
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ライター
平田裕介
そのシチェーションから物語があちこちと動き回るハラハラを極めた作品なのかと思っていたが違った。日々の生活に喘ぐ社会的弱者が道を切り拓こうとすればするほどもがく羽目になる姿を少々サスペンスフルに描いた感じ。物語のきっかけとなる死体すら、なにかと辛い目に遭っていることで知られる中国朝鮮族の青年だったりするのだ。というわけで拍子抜けしたが、勝手な期待を抱いたこちらが悪い。佇んでいるだけでなんともいえぬ可笑しみと切なさを放つシン・ハギュンは素晴らしい。
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