ダブルドライブ 狼の掟の映画専門家レビュー一覧
ダブルドライブ 狼の掟
「闇金ドッグス」シリーズのスタッフが手掛けたクライムカーアクション。仲間に残虐な仕打ちを行なったヤクザを殺害した我妻アベルは、身を寄せた兄貴分・村上大児の元で五十嵐純也と出会う。アベルと純也は、共に車好きなことから意気投合するが……。出演は「ボーダーライン」の藤田玲、「Please Please Please」の佐藤流司。
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評論家
上野昻志
車狂の間では垂涎ものかもしれぬスポーツカーの走りは、確かにスピード満点だが、それに較べて物語の展開は、メリハリを欠いて緩い。そんな車を走らせる主人公を、やくざが弟を殺された恨みで追うというのが本筋だが、追われる者と追う者の距離感が曖昧なままなので、サスペンスを醸し出さない。主人公が路で出会った女に導かれて行った地方都市の、カラオケ以外何もなさそうな風景とか、その土地にへばりつく悪ガキグループとか、突っ込めば面白くなりそうな部分もあるのだが。
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映画評論家
上島春彦
主人公の二人組はルックスもキャラも抜群。なのだが、いかにも途中から途中まで、という作りの感じで(事実そうなのね)残念です。こういう趣向は波岡一喜の闇金業者(「闇金ドッグス」シリーズの常連)に関しては有効、さすがの貫祿。問題は兄の復讐のために主人公を追いつめるヤクザの存在であり、どう決着がついたのか説明不足なのだ。波岡の件は次作に持ち越される。これは自然。主人公が乗り回す車が一方の主役であり、ディテイルでお客さんを満足させてほしい。次に期待したい。
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映画評論家
吉田伊知郎
脇に配されたネチョネチョ生きることを選んだチンピラたちが良い。「893愚連隊」の現代版の如く、やくざにならずにリーダーを総理と仰いで組織されているあたりも目配せが効いている。同作の天知茂のように主人公が愚連隊へ合流する構成も手堅く、中島貞夫の教えを受けて監督になった中でも最もプログラムピクチャーに近い位置で量産する元木隆史の面目躍如な70分。気弱な役ばかりでなく変幻自在になってきた駒木根隆介の愚連隊リーダー役がカンロクと優しさを併せ持ち出色。
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