ファミリー☆ウォーズの映画専門家レビュー一覧

ファミリー☆ウォーズ

新鋭・阪元裕吾監督が、実際の事件からインスパイアを受け制作したバイオレンス。7人家族の福島家。ある日、祖父・伸介が認知症を発症、ドライブ中に子供を轢き殺してしまう。その死体を家に持ち込んだことから家族は大混乱。やがて家の中で殺し合いが始まり……。出演は、アイドルユニット『月蝕GISELLe21』の土許麻衣、「コントロール・オブ・バイオレンス」の海道力也、「ウィッチ・フウィッチ」の松本卓也、安田ユウ、辻凪子。キネカ大森ほかで開催される映画祭『夏のホラー秘宝まつり2018』にて上映。
  • 映画評論家

    北川れい子

    わざと顰蹙を買うような一家や奇妙な連中を登場させ、行き掛かり的に死体を増やし、パワーショベルまで持ち出してセッセと死体の穴埋め作業、いろいろ仕込みも大変だったろうにホント、ご苦労サマ。けれども全く面白くない。これが長篇デビュー作だという阪元監督は、アブナい橋を渡ったつもりなのだろうが、キャラも設定も実にチープで薄っぺら、話題作りのために奇を衒っただけとしか思えん。確かに残酷映画は表現の解放区的な面もあるが、表現というより演出が大袈裟なだけ。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    元気があってよい。島田角栄監督作「家族ロック」を連想。あるいは森田芳光「家族ゲーム」と石井聰互「逆噴射家族」から小林勇貴「全員死刑」を繋ぐ迷惑なミッシングリンクか。ただガンガン殺って血と内臓ドバドバはいいとして、そのインフレに対する戦略が弱いか。早々にギャグの方向に舵を切っているがもっと殺傷アクション描写を痛く重くエグくしたほうが映画のパワーは増すはず。餅とマンナンライフの蒟蒻畑を大量におじいさん(名優)に与えるあたりの酷さとおかしさ。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    世界で同時多発的に疑似家族的な人間関係を描く作品が製作されている反動として、本作は血縁による人間関係を起点とした歪みが描かれている。しかし、躊躇ない暴力描写を見せつけた「ハングマンズ・ノット」の監督が、そう易々と〈家族愛〉に帰着させる訳もない。重要なのは、半径5メートル以内の狭い範囲で起こった凄惨な事件が、世間から誤認され、隣人さえも実体を正確に把握していない点にある。ある種の“無関心”こそが、この世界の混沌の根源であるようにも見えるからだ。

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