どうしようもない恋の唄の映画専門家レビュー一覧
どうしようもない恋の唄
「この官能文庫がすごい!」2010年の大賞を受賞した華凪優の同名小説を映画化したラブストーリー。事業に失敗し、妻にも捨てられた矢代光敏は、迷い込んだ場末の町でソープ嬢のヒナと出会う。彼女に救われ、生きる希望を見出していく矢代だったが……。出演は「ケンとカズ」のカトウシンスケ、広告代理店のOLからグラビア界に転身して話題を集めた藤崎里菜。監督は「チェリーボーイズ」の西海謙一郎。
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評論家
上野昻志
時代劇が似合いそうな面構えのカトウシンスケ君が、行き暮れて入ったソープ嬢の優しさに救われるなんて男の都合の良い幻想じゃないかと、話のとば口では引いたのだが、ソープ嬢を演じた藤崎里菜クンの艶技はもとより、日常の佇まいや物言い、表情を見るうちに、この人なら、無償の愛で、バカな男をも優しく包み込んでくれるのではないかと思い、俄然身を乗り出すことになった。だから、暮らしに慣れた男が彼女に辛く当たるのにイラつきながらも、どうしようもないとはこれかと納得。
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映画評論家
上島春彦
ピンク人脈的なエロ映画には時々傑作が出現する。見ていて私もしっかり泣かされた。人生を捨てて京成立石に迷い込んだ男の再生の物語。この地の有名な飲み屋街もちゃんと出てくるし(ただし人はいない)、昭和末期的な外景の佇まいも嬉しい。気のいい娼婦と敗残者というありがちな設定でも、男のあがきっぷりに妙味があり、観客もこの男を見捨てる気にはなれない。格安ソープ嬢(本人いわく)と隣室の高級キャバ嬢の対比もよく、わけ分からんうちに4Pになっちゃう場面も最上だ。
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映画評論家
吉田伊知郎
たまたま入った風俗店の娘が優しくて性格も超イイ娘で、失意の底にあった男が彼女の家に転がり込んで始まる再起の物語だが、60年代のピンク映画みたいな古色蒼然とした話を戦略もなく繰り返す。この監督は前作の「チェリーボーイズ」といい時代錯誤な映画ばかり撮って良いのか? 案の定、ヒモの分際で増長して彼女へ八つ当たりを始め、それでも彼女は気丈に男を立てようとするいじらしさを見せたりと、カビの生えたテンプレ描写が延々と続き、付き合い続けるのに努力を要する。
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