HOSTILE ホスティルの映画専門家レビュー一覧

HOSTILE ホスティル

タランティーノやイーストウッドの助監督を務めてきた新鋭マチュー・テュリの長編デビュー作。伝染病で人類が絶滅寸前となった世界。そこには夜毎、狩りを行なう未知の生物が存在した。ある日、若い女性ジュリエットが車の事故で荒野に取り残されるが……。主演は「Accident Man」などに出演する新進女優ブリタニー・アッシュワース。
  • 批評家、映像作家

    金子遊

    終末的な世界でのジュリエットの救いがたい現実に比べ、回想で振り返られる愛の物語は瑞々しい。だが、疫病によってどんな生理学的な反応が起き、クリーチャーが出現したのか理屈も必要か。CGだと思っていたクリーチャーが、ハビエル・ボテットの怪演だったことには驚いた。難病による身体的な特徴を、むしろ俳優としての個性に変えて活躍する姿に感動する。でもそれってSF映画が想像する怪物の外見が、難病や障害を抱える方々の姿に似てしまっている大問題を意味するのでは?

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    近未来らしき荒野を駆ける車。バックに流れる音楽は、身の上を歌う古いフォークソング「朝日のあたる家」。車を運転する女性には深い事情がありそうだ。それを考えているうちにクリーチャーが出現。さらには同じ女性が現代の都会でラブストーリーを展開。しかもその恋愛ドラマが随時フラッシュバック。荒野と現代の都会との関連・意味に気づき、彼女がパンデミックで生き残った一人と知るまでに時間がかかる。難易度の高いホラーである。フラッシュバックの入れ方に工夫があれば……。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    これでいいのか? そのクリーチャーの造型はそれで正解なのか!? チラチラと見切れるたびに気になって仕方ない。手足の一部が小出しのうちはともかく、全貌が現れてしまうと、疑惑はほぼ確信に変わる。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのゴラムの出来損ないといえば身も蓋もなく、それを可能にしているのはハビエル・ボテットの実演にほかならないが、いささかそこに頼り過ぎている。結果として異形度、恐ろしさ、哀しみ、どれも人以上妖怪未満の中途半端な印象が拭えない。

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