ファイティン!の映画専門家レビュー一覧
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ライター
石村加奈
腕相撲と侮るなかれ! 鍛え上げた上腕筋肉は、車を倒す強烈なパワーを持つ。単純な格闘技ものと見くびるなかれ!! シェークハンドをテーマに、家族を超えた人情ドラマが描かれるのだ。それらを可能にするのは、主人公を演じた、韓国のスター俳優マ・ドンソクだ。時に大いにボケ、時にはアニキ的な包容力で弱い人たちをがっちり守る。主人公を取り巻く、一見冴えない登場人物たちを憎めないキャラクターに魅せるのは、ドンソクのスター性によるところが大きい。どでかい人間讃歌だ。
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映像演出、映画評論
荻野洋一
マ・ドンソクの肉体を生かそうという企画物で、腕相撲版「ロッキー」であると同時に「レインマン」のようでもある。コリアン・アメリカンを主人公とするのはマ本人の出自と重ねられているだろう。無垢なエイリアンが共同体的文脈を欠く、その滑稽さを皆で笑いつつ、天賦の才で共同体に適度に揺さぶりをかけてくる居心地のよさ。その点でこれはいわゆる立身出世喜劇の定型である。ただ「韓国映画は面白い」といった議論の多くが、この手の定型への無条件の阿りとはなっていまいか?
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脚本家
北里宇一郎
ごひいきマ・ドンソク主演。今回はアームレスラー。例によってタフ・ガイぶりを見せる。これにヤモメのお母さんとその子どもたちが絡む。となると彼の愛嬌たっぷりの人の好さがふんだんに発揮され。さらに手八丁口八丁の若者とか悪玉ボスも登場。大詰めで八百長を強要されの展開は、もうもうこの手の映画のお約束通り。気楽に観てられる。だけど、そこから一歩もはみ出さぬ安逸さに脱力気味ともなって。こういうの昔、下町の小屋でおっさんやあんちゃんと楽しんだなと懐かしさも。
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