search/サーチ(2018)の映画専門家レビュー一覧
search/サーチ(2018)
全編、PCの画面上で展開する斬新さと巧みな語り口が話題を集め、サンダンス映画祭観客賞を受賞したサスペンス・スリラー。行方不明になった娘を捜して、彼女のPCにログインした父デビッド。だが、そこに映し出されたのは、別人のような娘の姿だった……。出演は「スター・トレック BEYOND」のジョン・チョー。Google Glassだけで撮影した短編映画「Seeds」が注目を集めた27歳のインド系アメリカ人、アニーシュ・チャガンティの監督デビュー作。
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翻訳家
篠儀直子
いまやネット空間上の映像を組み合わせるだけで、任意の人物や事件を再構成できる時代になっているのだという事実。PC画面上の動作が人の思考の反映であること。誰か(何か)が撮影した動画の映っているPC画面を映画カメラが撮っているという何重もの媒介性。PC画面を見ているのが誰であるかが曖昧になった瞬間に生じる、視点の奇妙な匿名性。PC画面だけをえんえんスクリーンで見せられるという知覚的倒錯……等々、これ一本だけで修士論文が書けそうな映画。スピード感あり。
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映画監督
内藤誠
行方不明になった少女を全篇PC画面で父親が探す映画で、実験性は興味深い。しかし冒頭、ビデオ・チャット、カレンダーへの入力、携帯電話で撮影された家族の動画などを見ているうちに、他人のホームビデオなどあまり見たくないという映画ファンはうんざりするかもしれない。ミステリーとしては、人間関係を描かず、いきなりタネ明かしをして、観客に推理させる布石を打たないのが弱点。実写カメラが回ると、ほっとしたが、日常的機器で娯楽映画を作る試みを一度は見ておきたい。
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ライター
平田裕介
終始PC画面だけで語る手法も面白いが、ハッキングなどの特殊な方法を引っ張り出さないのも◎。現実に存在するアプリやSNSで娘を捜索することでリアリティも出るし、それを使って四苦八苦する父親に共感も抱くようになるのが巧い。ただ、車で移動する彼をグーグルマップ上で動くピンとして表現するのはトンマな絵面だし、見せ方を楽しむ作品ゆえに仕方ないがミステリーとしての新鮮味は特になし。監督はインド系、キャストは韓国系、製作はロシア人とハリウッドは変わった。
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