マイ・サンシャインの映画専門家レビュー一覧

マイ・サンシャイン

ロサンゼルス暴動に巻き込まれた家族を描くドラマ。1992年、LAサウスセントラル。家族と暮らせない子どもたちを育てているミリーと、彼女たちを見守る隣人オビー。ある日、黒人が犠牲になった事件に対し不当な判決が出たことから、LAで暴動が始まる。監督は、「裸足の季節」のデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン。出演は、「チョコレート」のハル・ベリー、「007」シリーズのダニエル・クレイグ。
  • 批評家、映像作家

    金子遊

    1992年はアメリカに住んでいた時期なので良く覚えている。CNNをつけるとロドニー・キング事件とロス暴動のニュースで持ち切りだった。本作は当時のニュース映像をふんだんに使いながら、あの時代にLAのサウスセントラルで、身寄りのない子どもたちを預かって育てる、ひとりのアフリカ系の女性ミリーを描く。親子二代でイラク戦争を仕かけたブッシュ家のような好戦的な権力者がいる一方で、ミリーのような新しい家族のかたちを模索する民衆がいることがアメリカの救いなのだ。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    原題が「KINGS」のこの映画、テーマからして92年のLA暴動のきっかけとなったロドニー・キングを意識し、人種や貧困の問題が深刻化する現代はさらに多くのキングがいることを意味していると受け止めた。けれど少女から女性になる季節を瑞々しく描いた監督デビュー作「裸足の季節」とは勝手が違ったようだ。子どもたちはともかく、主人公ミリーと隣人オビーについては脚本での掘り下げが浅かったか。意欲的なテーマなのにH・ベリーとD・クレイグを活かしきれず、起用が勿体無い。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    現ボンドのダニエル・クレイグ&元・ボンドガールのハリー・ベリーの共演に、007つながりを思ってどうしても顔が緩む。近所の口うるさいおじさんに擬態していても、彼の正体はジェームズ・ボンドなんだ……! という中二病的な妄想にひたり、ちょっとしたアクションにもその片鱗を目ざとく見出そうとしてしまうのは、クレイグが現役ボンドである今しか味わえない楽しみ方だ。ボンドの呪縛をまとって普通の映画に出演するクレイグというコンテンツが、個人的には嫌いじゃない。

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