ビリオネア・ボーイズ・クラブの映画専門家レビュー一覧

ビリオネア・ボーイズ・クラブ

1980年代初頭にセレブ社交クラブが巻き起こした事件を映画化。ジョーとディーンは金持ちの友人たちと投資グループ『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』を設立。ジョーは詐欺を重ねグループは急成長を遂げるが、裏切りに遭い、彼らの豪勢な暮らしが一変する。監督は「ワンダーランド」のジェームズ・コックス。強い野心とカリスマ性を持つジョーを「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴートが、彼と『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』を立ち上げるプロテニス選手のディーンを「キングスマン」シリーズのタロン・エガートンが演じるほか、「アメリカン・ビューティー」のケヴィン・スペイシー、「NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム」のエマ・ロバーツらが出演。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    米国で興行的にコケたのは、K・スペイシーが(「ゲティ家の身代金」のように出演場面を撮り直したりせず、そのまま)出ているので公開規模を抑えざるをえなかったのが大きかったのかなと思うけど、やっぱり作品自体ももう少しどうにかしてほしかった。アンセルとタロンが魅力たっぷりに登場するから一気に期待値が上がるのに、イケイケのはずの時期の描写が、ぐずぐずと焦点定まらなくてまるで爽快にならず、そのあいだに肝心の二人の輝きも、事業の暗転を待たずしてくすんでしまう。

  • 映画監督

    内藤誠

    80年代のロサンゼルスに存在した若者たちの実話に基づくというが、すでにこの素材はテレビ化もされていて、映画ではアンセル・エルゴートとタロン・エガートンが熱演。ウォール街の敏腕トレーダーのケヴィン・スペイシーも参入して世間を騒がせた投資詐欺が描かれるのだが、映画を見ているかぎり、どうしてこんなに幼稚な手口に騙されるのかと投資家の頭のわるさにあきれてしまう。後味はよくないが、金がなければ人間の幸せはあり得ないという、BBC青年の哲学は出ていた。

  • ライター

    平田裕介

    実際に起きた事件が題材で結構なことをやらかしているのだが、犯罪劇としてもスリリングなわけでもなく、中産階級の劣等感が生んだ欲望に駆られて自滅する若者たちを追う青春劇としても弱い。有名なマクセルのカセットテープのCMをパロった冒頭を筆頭に舞台となる80年代の文化や風俗もまぶしているが、それも途中から霧散してしまう。とはいえ主演ふたりが放つキラキラ感は相当なもので、若手スターの顔合わせ映画として観るのが妥当。K・スペイシーの嫌な奴ぶりはここでも見事。

1 - 3件表示/全3件