リトル・フォレスト 春夏秋冬の映画専門家レビュー一覧

リトル・フォレスト 春夏秋冬

橋本愛主演で映画化された五十嵐大介の人気コミックを韓国で再映画化。思い通りにならない人生をリセットするため、故郷に戻ったヘウォン。旧友のジェハ、ウンスクとともに、自ら農作物を育て、料理を作る暮らしを始めた彼女は、やがて新たな一歩を踏み出す。出演は「お嬢さん」のキム・テリ、「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」のリュ・ジュンヨル、
  • 批評家、映像作家

    金子遊

    還暦をすぎたら自分の畑を持ちたいとひそかに思っている。化学肥料や放射性物質による汚染を心配することなく、野菜の滋味を堪能したいからだ。石原さとみばりの美少女であるキム・テリは、田舎に帰ってきて『ソトコト』のような田舎暮らしを満喫しているように見えるが、それなりにリアリティとの葛藤もある。落ち込んだときに彼女が手づくりでつくる蒸し餅、マッコリ、激辛のトッポッキなどの素朴な韓国料理がとてもおいしそう。国内ではなく韓国で畑を持つべきなのか悩ましい……。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    自然・食・暮らしなど、人と不可分の関係にあるこれらを題材にした物語は、いろんな国や地域でローカライズが可能だと、今更ながら思った。韓国の四季をベースにした今回は、畑を耕して苗を植え、収穫した農作物を料理したり、干し柿を作ったり。詩情豊か、かつ全篇の美しい映像は和み効果抜群。反面、就職に恋愛、何ひとつうまくいかない都会暮らしに疲れたヒロインが、田舎に戻って始めた美味しく美しい生活、こうもすんなりいくのだろうかと、突っ込みたくなる気持ちも少し。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    原作漫画はもとより、橋本愛主演で映画化された日本版のスタイルをほぼ踏襲している印象。その上で登場する料理やお酒のレシピは餅やマッコリ、トッポッキなど韓国のものを採り入れ、驚くほど違和感なくリメイクしている。やや曖昧すぎるきらいのある三角関係や、家を出ていったヒロインの母親の描写も過度な補足説明は控えられ、どちらかというと要素を詰め込むほうが得意な韓国映画としてはかなり異色と言える。三浦貴大が演じた青年役のリュ・ジュニョルがいい仕事をしている。

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