魔法少年☆ワイルドバージンの映画専門家レビュー一覧
魔法少年☆ワイルドバージン
童貞のまま30歳を迎えると魔法使いになるという都市伝説を基にしたファンタジー。童貞の星村は30歳の誕生日前日、雪乃にセクハラする上司にやり返されたところにマントヒヒが乱入。雪乃を連れ必死に逃げ回り、駆け込んだラブホテルで午前0時を迎えると……。監督は「サラバ静寂」の宇賀那健一。うだつの上がらない保険営業マンの星村幹夫を「エミアビのはじまりとはじまり」の前野朋哉が、ヒロインの秋山雪乃を「キスできる餃子」の佐野ひなこが、星村の同僚で親友の月野雅臣を「いのちスケッチ」の芹澤興人が演じる。
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フリーライター
須永貴子
「30歳まで童貞だと魔法使いになる」という伝説を、“中年負け組バディの大逆転”という胸アツコメディに昇華。冒頭のアニメーションの昭和感、お手製のヒーローコスチューム、目から出るビームや空飛ぶホウキなどのCGの完成度のほどよい低さなど、アナログ味のあるヴィジュアルがトータルでバランスがとれている。「ささやかなアフリカン居酒屋」のような突っ込みたくなる台詞もクスリとさせる。ただし、クライマックスでのヒロインの血反吐大噴射はやりすぎ!
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脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授
山田耕大
こういう映画はわりと好きなので期待したが、それに応えてくれたとは言いがたい。コメディとして作ったのだろうが、笑わせよう笑わせようとあがく様が痛々しい。延々と親父ギャグを見せられているようで、鼻白んでくる。良き笑いは、「思わず笑ってしまう」笑いなんだと思う。笑いをかもすシチュエーションの中に不如意なキャラクターを置き、真摯に生きさせれば笑いは自然に湧いてくる。コメディは、意図的に笑わせようとしてはダメなのだと改めて知らしめてくれた。
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映画評論家
吉田広明
三十歳まで童貞だと魔法が使えるようになる。この発想自体は面白いのだが、しかし主人公の魔法少年二人が魔法を失い幸せに、という落ちでは、結局は非童貞の方がいいのだという結論になりはしないか。魔法=童貞力とは何か、童貞にしかないものは何か(ヒーローになりたい願望は童貞固有のものではあるまい)、を考え切っていないために、「ヤリチンが偉い」に対する童貞なりのオルタナティヴな世界観を提示しえていない。童貞文学でも読んで妄想力を鍛え直すべきでは。
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