ホットギミック ガールミーツボーイの映画専門家レビュー一覧

ホットギミック ガールミーツボーイ

相原実貴による人気少女漫画『ホットギミック』を、「21世紀の女の子」を手がけた山戸結希の監督、乃木坂46の堀未央奈主演で映画化。女子高生の成田初は、今や人気モデルとなった幼馴染の梓、初の弱みを握る亮輝、ある秘密を抱える兄・凌の間で揺れ動く。初めての恋に悩む成田初を堀未央奈が、同じマンションに住む橘亮輝を「貞子」の清水尋也が、数年ぶりに再会した幼馴染・小田切梓を「僕に、会いたかった」の板垣瑞生が、3歳上の兄・成田凌を「全員死刑」の間宮祥太朗が演じる。
  • 映画評論家

    北川れい子

    「溺れるナイフ」の舞台となった自然がいっぱいの風土は、若い主人公たちの無自覚な欲望といらだちを、痛みと共に解放していたが、今回は海はあっても無機質なコンクリートの世界、その上、閉鎖的で限りなくミニマムな空間での初恋の絡み合い、観ているだけでかなり息苦しい。何度も出てくる高層マンションの外階段でのおしゃべりは、宙ぶらりんの主人公たちの宙ぶらりんの関係の場としてイミがあるのだろうが、結論を出さないと前に進めないという現代っ子の短急さを見せられてもね。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    他にないものを見せようという作り手の熱と野心に圧倒された。実際それを実現してることにも。執拗なインサートカットや音楽の貼り付けが的確な効果かどうかは不明だが映像表現を新たに行なおうという意志がある。ベッドでスマホテレビ電話のテレフォンペッティングをするときの正しい編集、切り返しを知ってるか。本作はそれを知ってる。そういうものをもこの映画は作り出す。反=安全牌的な姿勢の横溢。それは生の激動極まりない不可逆な一季、青春を過ごす者の物語に相応しい。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    無機質な印象を与える建築物を、彼女/彼たちの住まいとすることで心象風景を生み出している。彼らは自身の内面が“からっぽ”であることに、ある種のコンプレックスを抱いているが、視覚的にもそのように見えるのはロケーションの審美眼に依るものだ。山戸結希監督は過去作品と同様に、観客が登場人物に対して抱く想いを拒絶するかのようにシーンとシーンの繋がりを没却し、登場人物の感情そのものを分断させている。身体は純潔だが心は乱れたヒロイン不安定さの源泉はそこにある。

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