バジュランギおじさんと、小さな迷子の映画専門家レビュー一覧
バジュランギおじさんと、小さな迷子
インド映画として世界興収歴代3位を記録したヒット作。パキスタンの小さな村に暮らす少女シャヒーダーは、母親と一緒にインドのイスラム寺院を訪れるが、帰り道で迷子になってしまう。困り果てた彼女は、ヒンドゥー教の熱心な信者パワンと出会うが……。出演は「タイガー~伝説のスパイ~」のサルマーン・カーン、インドの人気子役ハルシャーリー・マルホートラ。監督は「タイガー~伝説のスパイ~」のカビール・カーン。
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ライター
石村加奈
歌って踊って、大いに笑って泣いて、盛り沢山な、ザッツ・マサラムービーである。主人公パワンのバカがつくほどの正直ぶりは、人気俳優サルマン・カーンの魅力もあいまって、壮大な物語の中でだんだんと心揺さぶられていくのだが、喋れない迷子の少女シャヒーダー(オーディションで、5000人の中から選ばれたハルシャーリー・マルホートラ)の、アンニュイなかわいらしさに反する、手癖の悪さはいかがなものか? そんな些末なことが気になるのは単に観る側の狭量さゆえかも知れないが。
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映像演出、映画評論
荻野洋一
インド映画の長尺を云々するのはお門違いだが、内容から言って159分は長い。釈迦に説法ながら100分に編集し直したらもっと良くなるのではないか。口の利けない迷子の少女は6歳。しかし自分の住んでいた村の名前くらいは書けないものか。世界中の幼稚園児が英語を学んだりしている時代なのだから。しかしそれを言い出すと、本作の成り立ちそのものが崩れてしまう。ここは印パの国境対立が話をややこしくし、サスペンスを持続させる点を受け止めて楽しむべきなのだろう。
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脚本家
北里宇一郎
迷子になった少女を気のいいオッサンが面倒を見る。よくある設定。展開はご都合よすぎるし、泣かせ笑わせの描写は泥臭くしつこい。相変わらずのインド映画だと思いつつ引きこまれていくのは、そこに娯楽映画、その根本の精神があるからか。歌舞場面が香辛料のようにピリリと効いて、役者連もいい味を出して。それよりも少女が口を利けない。その沈黙が言語や宗教や国境を超越して人間同士を結びつけた。それを誰にでも分かるスタイルで描いて。あ、これ、社会派の説法映画なんだと。
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