ノーザン・ソウルの映画専門家レビュー一覧
ノーザン・ソウル
1970年代のイングランド北部を舞台に、音楽ムーヴメント“NORTHERN SOUL”に魅了された若者たちが織りなす青春ドラマ。退屈な毎日にうんざりしていた高校生ジョンは、ユースクラブでソウル・ミュージックに合わせて踊る青年マットと出会う。出演は、「バーチャル・ウォーズ」のエリオット・ジェームズ・ラングリッジ、「モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト」のジョシュ・ホワイトハウス、「24アワー・パーティ・ピープル」のスティーヴ・クーガン。2015年英国アカデミー賞英国デビュー賞ノミネート、2015年ロンドン批評家協会賞ブレイクスルー英国フィルムメイカー賞ノミネート、2015年トロント国際映画祭オフィシャルセレクション。
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ライター
石村加奈
主人公ジョンの変貌ぶりが見事だ。冴えない高校生がノーザン・ソウルに出会い、ママが選んだ服を脱ぎ捨て、シューズから(オシャレは足もとから!)ヘアスタイルまで自分らしく変身! 仲間や夢を手に入れて青春の光を思いきり浴びた後は、孤独な影(やはりドラッグ絡み)も知り、ちょっぴり大人になる……王道の青春ストーリーで、鮮やかに変わっていくジョンの顔つきがドラマチック! 本作で映画主演デビューを飾ったエリオット・ジェームズ・ラングリッジ、覚えておきたい俳優だ。
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映像演出、映画評論
荻野洋一
どこまでも刹那的であろうとする主人公たちの生きざまが素晴らしい。イングランド北部の田舎学生にとって、ソウルなんて地場の音楽ではないし、ただの輸入品に過ぎない。しかし借り物に踊らされるという滑稽さを彼らは甘受し、熱にうなされつつ踊り狂うことの刹那におのれの生を懸ける。そして筆者はその滑稽な虚勢を愛する。この虚勢こそが大輪の華を咲かせる種子ではなかったか。われらシネフィルも青春期をあまりにも大量の映画を見ることで蕩尽した。この映画は同類の証しだ。
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脚本家
北里宇一郎
いやはや70年代中盤の英国北部でこんな流行があったとは。ディスコ・ミュージックじゃなくてソウル、しかもレアものをかけまくるクラブ。そこで若者たちが踊りまくっていたなんて風俗描写だけで興味津津。中身は60年代怒れる若者たち映画を彷彿。ただし反抗抜きだけど。主役の男の子二人がチンピラ顔なのが実感。彼らがDJで売り出そうと奮闘する様を軸にしているが、展開は行き当たりばったり。そこが青春ものらしい。けどもう一つ胸に迫ってこない。何かこれ裏打ちがない印象で。
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