サムライマラソンの映画専門家レビュー一覧
サムライマラソン
「超高速!参勤交代」の脚本家・土橋章宏による小説『幕末まらそん侍』を豪華スタッフ・キャストで映画化。幕末。迫る外国の脅威に備え、安中藩主・板倉勝明は藩士を鍛えるため、十五里の山道を走る大会を開催。そんななか、藩士不在の城に刺客が送り込まれる。出演は「8年越しの花嫁 奇跡の実話」の佐藤健、「恋は雨上がりのように」の小松菜奈、「怒り」の森山未來、「きみの鳥はうたえる」の染谷将太、「来る」の青木崇高、「レオン」の竹中直人、「淵に立つ」の筒井真理子、「止められるか、俺たちを」の門脇麦、「海を駆ける」の阿部純子、「リングサイド・ストーリー」の奈緒、「覚悟はいいかそこの女子。」の中川大志、「ワンダーウーマン」のダニー・ヒューストン、「パンク侍、斬られて候」の豊川悦司、「シン・ゴジラ」の長谷川博己。監督は「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」のバーナード・ローズ。企画・プロデュースは「ラストエンペラー」のジェレミー・トーマスと「おくりびと」の中沢敏明。脚本は「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の斉藤ひろし、バーナード・ローズ、「喰女 クイメ」の山岸きくみ。音楽を「めぐりあう時間たち」のフィリップ・グラス、衣装デザインを「乱」のワダエミが担当。
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評論家
上野昻志
見終わったとき、思わず、この監督、ヘタッピー、と呟いてしまった。だって、そうでしょ。話は一応、ちゃんと出来ているし、キャスト陣は豪華で金もかけているのに、サスペンスも緊張感もほとんど皆無で、間延びしているのだもの。それを端的に示しているのが、江戸からの刺客の一群を片付けたあと、森山未來や佐藤健たちが、危機が迫る城を目指して一団となって走るところを正面からのスローモーションで延々と繰り返す画面だ。まるで城に行きたくなくて足踏みしているみたいなのだ。
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映画評論家
上島春彦
大映の旧「まらそん侍」リメイクかと思ったら違った。本邦最初のマラソンという実話にインスパイアされた原作からの映画化で大作路線。地方の小藩と、それを潰し飲み込もうとする幕府の駆け引きが根底にあり、賢い藩主の権謀術策が効いている。ネタバレなので多くは書かないが、潜入している幕府のスパイをあぶりだす、という目的故のイヴェントと分かる。出発地点でのキャラクターが走っているうちに(良くも悪くも)変化していく、これが見どころ。小松菜奈のお姫様もキュート也。
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映画評論家
吉田伊知郎
空転・失笑・豪華キャストの無駄遣い。原作未読だが「超高速!参勤交代」の作者だけに軽妙な語り口が相応しいと思われる題材を「ラストサムライ」風に描き、ペリーが少し顔を出す以外は日本人しか出ない話を英国人監督に撮らせて脚本や演出面でも好き勝手にさせては、破綻するのは必然。監督がアドリブを奨励したらしく、てんでバラバラの演技が散乱しまくり、竹中直人の悪ノリがとどめを刺す。同時期に同じ庄内映画村で撮影したのが「斬、」だと思うと、映画ってコワイですねぇ。
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