シンプル・フェイバーの映画専門家レビュー一覧
シンプル・フェイバー
ダーシー・ベルのミステリー小説『ささやかな頼み』をアナ・ケンドリックとブレイク・ライブリー共演で映画化。シングルマザーのステファニーはある日、親しくなった人妻エミリーから学校に通う息子の迎えを頼まれる。だが、そのままエミリーが失踪し……。メガホンを取ったのは、「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」、「ゴーストバスターズ」(16)のポール・フェイグ。
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批評家、映像作家
金子遊
見事に個性的なシナリオ。幼稚園のお迎えで知り合ったママ友が謎めいた美女のキャリアウーマンで、そこからプロタゴニストとアンタゴニストを対照的に描き、最後には主人公が成長して対立者を乗り越える。ハリウッドのエンタメ映画内でも、特筆に値するウェルメイドな作品だ。とはいえ、96歳で亡くなったジョナス・メカスが非商業的でオルタナティヴの、アンダーグラウンドな映画を擁護したのは、このような完成度の高さが非人間的な商品を生みだすだけだと知っていたからだろう。
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映画評論家
きさらぎ尚
人妻の失踪から「ゴーン・ガール」を思い出したが、しつらえに時代の違いがくっきり。ママ友からのちょっとした頼みごとを引き受けたことがきっかけのこのミステリーは、フレンチポップスのBGMで始まり、A・ケンドリックのキャラ設定もブロガーなので、動画サイトを閲覧している気分に。SNS時代ならではのスピーディな、誰を信じたらいいか混乱させられる展開は面白い。それでも、彼女がB・ライブリーを探しに行くあたりからは、やっぱりそうなるか……の、限界も感じる。
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映画系文筆業
奈々村久生
いくらなんでもミステリーとしてこのトリックはあまりに強引でトンデモに近い。女性同士のバトルや共犯関係をサイコパスVSサイコパスの応酬として描く視点は悪くないけれど、それとコメディとのマッチングが上手く成立しているとは言い難い。この監督は「ブライズメイズ」でも女の友情をいじり倒していたが、女性のイメージを無責任に笑いものにされているようで気分はよくなかった。現代のステップフォード・ワイフ的なアナ・ケンドリックの顔に貼りついたスマイルがひたすら怖い。
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