レプリカズの映画専門家レビュー一覧

レプリカズ

キアヌ・リーヴス主演のSFアクション。人間の意識をコンピュータに移す研究に打ち込んでいた神経科学者のウィリアムは、突然の事故で失った家族4人をクローン技術で甦らせることに成功する。だが、タブーを犯した彼に、政府組織が襲いかかってくる。共演は「500ページの夢の束」のアリス・イヴ。メガホンを取ったのは、「デイ・アフター・トゥモロー」の脚本を担当したジェフリー・ナックマノフ。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    これまたBムービー的題材だけど、装いは最先端科学。とはいえそれが説得力増大につながっているかはまた別問題。前半部分の面白さはむしろ、家族がいない理由をどう取り繕うかとか、電源をどう確保するかとかにある。ところが後半、物語的に重要と思われる部分がなぜかはしょられていて、突然の方向転換に戸惑うばかり。さらに、スリルが最高に盛り上がるはずの部分での、演出の生ぬるさにはびっくり仰天。シリアスにやってもそうでなくても、もっと面白くできたはずの映画なのだが。

  • 映画監督

    内藤誠

    基本的にはフランケンシュタインの物語だが、神経科学が発達している現代、キアヌ・リーヴスが倫理の壁を越える暴走をしても、とりわけ異常な人間像には見えない。研究所の上司ジョン・オーティスが金儲けの目的で医療開発企業をやっている設定にし、キアヌ・リーヴスは家族愛のためにクローン人間を作る学者にしているからだ。われわれも日常的に使用している機械に対して、好きなものと嫌いなものがあるので、主人公がロボットやクローン人間に感情移入する娯楽作品も成立する。

  • ライター

    平田裕介

    科学の発展と倫理観のせめぎ合いを大きなテーマにしているはずだが、科学者キアヌは妻子のクローン製造を秒で即決。物語的にも誅罰的にもクローン妻子になんらかの悪しき変調が起きていいものだが、それもナシ。とにかくすべてがイージー。しかもクローン製造よりも、死んだ妻子に代わってキアヌが欠席・欠勤の連絡、メールの返信、SNSのコメント応対するほうを難儀に描くあたりは笑うしかない。キアヌ・リーヴスは出演作のムラがありまくる俳優だが、これは明らかに残念なほう。

1 - 3件表示/全3件