任侠学園の映画専門家レビュー一覧
-
ライター
須永貴子
ヤクザの組員たちのキャラクターと関係性が、「また奴らに会いたい」と思わされる可愛らしさ。アクション監督下村勇二&西島秀俊の貫禄の格闘シーンをお約束に、痛快人情コメディとしてシリーズ化できるポテンシャルを感じる。が、ナンセンスなギャグ、特に効果音の使い方がいただけない。例えば、豚の丸焼きの顔を何度もクローズアップにするたびに「ブヒ!」という豚の鳴き声が重なることで、会話のリズムが止まってしまう。シリーズ化には賛成なので、ギャグ禁止でぜひ。
-
脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授
山田耕大
ヤクザを育てる学校の話ではない。ダメな高校をヤクザが立て直す話だ。設定も筋運びも目新しいものはない。だが、面白い。東映ヤクザ映画へのオマージュなのか、劇伴にのせたメインタイトルの出から、惹かれる。全篇にまぶされた笑いも泣きも過剰になることなく、さらりと差し出してくれて、嫌味がない。話の展開もパターンと言えばそれまでだが、パターンと思わせてしまう隙を見せない。職人技である。これが今の日本映画の平均値だったら、どんなにいいだろう。
-
映画評論家
吉田広明
ヤクザが学校経営という設定の奇抜さだけで終わらない、演出の映画。様々な生徒を巡るエピソードの連鎖の中で、学校の経営権を握ろうとする勢力がいることが明かされ、と飽きさせない展開。原作小説自体の錬成度が高い(シリーズ化されている程だし)うえに、反復される台詞や仕草、効果音など編集が的確なためにギャグも上滑りしていない。組員一人一人のキャラが際立っており、特に西田敏行の芸の幅には大いに助けられている。これなら続篇もぜひ見てみたい。
1 -
3件表示/全3件